がんになったら食事はどうする?

がんになったら何を食べたらよいか
がん予防のための食事は、体に良いとされているものを適度に摂っていけば、大きな間違えはないと思いますが、いざがんになったらどうすべきか、皆さんとても迷うところです。玄米を食べるべきか、肉は食べるべきか否か、水は何が良いのかなど実際に混乱が生じています。

病院ではがんを取り、縮小させることに力が集中しますので、食事指導や栄養指導はどうしても後回しになるか、必要ないものとして扱われがちです。
こういった場合に、親戚や知り合いの方などが、食事、栄養に関してアドバイスをして、さまざまな方法を紹介し、患者さんを導きます。
患者さんは言われたとおりにまず実践し、できそうであれば続けるケースがほとんどで、自ら調べ上げて実践するケースはごく少数で、よほど元気がない限りできません。

代表的にはマクロビオティックや欧米のゲルソン療法があり、その他に医師が考え出した方法がいくつかあって、この中から患者さんは自分に合うやり方を選択しています。
マクロビオティックは玄米菜食が中心で、一方ゲルソン療法は ガンの原因となる食品を排除し、 自然な食べ物から栄養素をバランスよく摂ることによって 人間が本来持っている身体の機能を高めて病気を排除しようとするものです。
特徴としては徹底的にナトリウムを排除した無塩食と、油脂の制限、カリウムの取り込みを目的とした野菜ジュースの大量摂取、そして肝臓の修復と除痛を目的としたコーヒー浣腸があります。かなり徹底しているので続けることが大変そうです。

がんになった人の食事療法については、2003年にアメリカ対がん協会が指標となる判定を公表しています。いくつかの食事療法について、それを行うことで利益が得られるかどうかを、「再発防止」「生存期間の延長」「QOLの向上」という観点から判定したところ、飽和脂肪酸を減らした低脂肪食や野菜、果物の摂取は積極的に取り入れて体重を維持し、運動を増やすことが大切であることがわかりました。 残念ながらマクロビオティックやゲルソン療法に関しては特に述べられていません。

また2007年11月にイギリスにある世界がん研究基金が食物・栄養・運動とがん予防との関係について約7000件の研究論文の中からエビデンスレベルの高い論文を分析して報告書を提出しました。それには、がんと診断され、すでに治療を終えた人たちも、健康な人のがん予防として推奨されていることにならうと述べられています。つまり現時点ではがんになった人の食事療法はこれだというものはなく、がん予防に大切とされることを踏襲するのが近道のようです。

しかし、当院にいらっしゃる患者さんの中には、肉などの動物性たんぱく質が、がんの栄養になって成長させてしまい、免疫を落とすことにつながるからという理由で、徹底的に排除して低栄養状態になっている方も見られます。低栄養状態はがん患者によく見られる症状であり、生存率や生活の質の低下を伴います。低栄養状態の診断には、体重減少が最も有効な臨床的指標ですが、この体重減少は、特に筋肉量の減少を伴い、一般的に「サルコペニア(筋肉減少症)」と呼ばれています。
がんは分裂し大きくなるためのエネルギーを血液中のブドウ糖から得ており、その消費量は正常細胞の6倍といわれています。血糖値を維持するために糖原性アミノ酸を原料とし肝臓でブドウ糖をつくる糖新生という働きが活発に行われます。するとこの糖原性アミノ酸は筋肉から供給されるので、筋肉はますます痩せて、サルコペニアになります。

サルコペニアにならないためには、筋肉の元となる肉や卵などの動物性たんぱく質を多く取り筋肉をがんに負けずに作ることが必要ですが、これらががんの栄養になるとの噂から摂らないでいるとサルコペニアがますます進んでしまいます。

そして、新宿溝口クリニックの溝口先生によると、がんが栄養として欲するたんぱく質は血液中のアルブミンと赤血球のヘモグロビンなので、食事からのたんぱく質は関係なく、積極的に肉、卵を摂るべきであると述べています。私も同じ考えで、がんになってしまったら、貧血を改善してがんと闘う体力、免疫力を付ける上でも動物性たんぱく質は必要であると思います。もちろん糖質は制限しなければなりません。

当院には化学療法や放射線療法を続けながら、琉球温熱と高濃度ビタミンC点滴を併用される患者さんもいらっしゃいます。皆さん、たんぱく質を積極的に摂って、がんと闘っています。
今後、標準治療をはじめとする治療法がますます進化してゆく中で、体力がないために新しい治療法に挑戦できないといった残念な結果にならないように食事を考えることが大切ではないでしょうか。