長生きのためのビタミンD

昨年あたりから、研究会でビタミンDの話題が取り上げられるようになり、また最近では取引しているサプリメント会社からのビタミンDの宣伝が多くなりました。

整形外科出身の私としてはビタミンDといえば“骨”のイメージしかありませんでしたが、
骨以外の体にとって有用な働きが沢山あることを知り、今では現代の生活になくてはならないものであると感じています。

ビタミンD関連の海外文献を調べてみると今まで約30000本あり、2012年には約3600本出されていることから、最近注目度が上がっていることが伺えます。

ビタミンDとアレルギー、免疫、妊娠と栄養、自閉症と発育、心臓と血管、糖尿病、ガンのリスク低減、総死亡率など広い範囲にわたり報告されています。

身近な話としては、ビタミンDが抗菌、抗毒素特性のあるポリペプチドを誘発し、自然免疫系を強化してかぜ、インフルエンザなど感染症の予防になるということと、花粉に対しての免疫寛容を引き出し(つまり花粉を敵と見なさないようにしてアレルギー反応を抑える)、花粉症を和らげる働きがあるというものです。
花粉症で悩んでいる方には朗報です。早速私も花粉症の身内にビタミンDを飲んでもらうようにしました。

続いて興味深いのはガンに対する効果です。ボストン大学の研究では日光に当たることとビタミンDの血中濃度を40-60ng/mlにすることでガンの予防効果が高まる(Holick,2013),
またノルウエーの研究では658人のガン患者で血清25(OH)D値が32ng/mlあったグループは18ng/ml以下のグループよりガンによる死亡リスクが66%低くなった(Tretli,2012)などがあります。
またビタミンDの不足関連の疾病で亡くなる割合が25(OH)Dを22から44ng/mlにアップすると死亡率が20%減少したという報告(GrantWB,2011)もあります。

ビタミンDは、水に溶けるビタミンBやCと違い、油に溶ける脂溶性ビタミンです。
ビタミンDは紫外線によって皮膚に含まれるコレステロールから合成れます。つまり、紫外線不足、日光不足やコレステロール不足でビタミンDは不足します。
合成されたビタミンDは血中に移動し、肝臓で25(OH)D に変換されたのち、肝臓や脂肪に蓄えられます。よって体内のビタミンDの大部分は25(OH)D の形で存在し、全身への安定的なビタミンDの供給に備えています。

また腎臓で必要に応じて活性型1・25(OH)Dとなり、体に様々な働きを示しますが、25(OH)D の血中半減期は2~3週間であるのに対し、活性型1・25(OH)Dは15分程度と言われています。
また活性型は量的に1000分の1と少なく、短時間少量で細胞に働きかけます。
最近では腎臓以外の細胞(乳腺、大腸、前立腺、肺、免疫細胞)で活性型が作られて、細胞の成長や分化、免疫機能、血圧を調整するホルモンに関わることがわかってきました。
よって活性化される前の25(OH)Dを不足しないように体内に蓄えておくことが大切で、その量は血中濃度を測定することでわかります。
理想的には30~40ng/ml以上の濃度が良いと言われています。

ここで注意すべきことは、活性型1・25(OH)D を測定しても体のビタミンDの需給がわからないというここと、薬で処方されるアルファロールなどの活性ビタミンDを沢山飲んでも(実際は保健適応外なので多くは処方できない)高カルシウム血症の危険があり、意味をなさないということです。

加齢が進むと皮膚でのビタミンDを生成する能力が低下し、ビタミンD不足による疾患に罹る可能性が高まります。

よって、日光に当たったり、ビタミンDを多く含む食品を摂ったり、25(OH)D のサプリメントを利用することが大切です。日光浴は直接日光(紫外線UVB)のあたる場所で、なるべく肌を露出して15分前後行うことが効果的ですが、しわやシミが気になる場合は、最低5分でも浴びてから日焼け止めを用いるとよいでしょう。

食品では、あんこう肝、イワシ、イクラ、紅サケ、シイタケ、きくらげなどに含まれていますが、これらを食することが難しい場合は、サプリメントで1日2000IUを摂ると理想の値に近づきます。

健康で長生きを目指すなら日に当たり、ビタミンD を積極的に取り入れるべきでしょう。