水素療法には水素サプリだけでなく水素点滴や水素注射がある

数年前、知人が水素サプリを作ったので感想を聞かしてくれと言ってきました。

ちょうど水素水が話題になりコンビニなどで沢山販売されていたころです。

私は、気体である水素がサプリの中に入っているというイメージがどうしても湧かず、その製品に懐疑的で取り扱うことをお断りしました。

それ以来、水素製品が売られていても手にすることはありませんでした。

 

ところが、今回点滴療法研究会の特別ワークショップに参加して水素に対する見方が変わりました。

このワークショップは以前もご紹介したように日本全国で点滴療法に関わっている医者の発表会です。

それぞれ皆さん新しい知見を取り入れて工夫されておりいつも感心させられます。

一般の標準治療ではエビデンスの強い縛りがあり新しい治療法を取り入れるのに長い年月を要するのですが、この分野は安全面をしっかり確保した後に可能性を追求するので新しいことを早く取り入れることができます。

今回注目した水素については赤坂AAクリニックの森吉臣先生が臨床実験の結果と合わせてその有用性を水素療法と名付けて発表されました。

水素の主な作用は抗酸化作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用ですが、このほかにミトコンドリアでのATP産生促進、微小循環改善、代謝改善、抗腫瘍作用などが見つかってきています。

日本は水素の研究が進んでおり、この研究の基礎は日本医大の太田成男教授の脳梗塞治療に水素を用いてその有用性を確かめた論文と言われています。

抗酸化作用には活性酸素の除去と酸化脂質の還元修復があります。

一般に活性酸素というと体の細胞を傷つける悪者のイメージがありますが、中にはスーパーオキサイドのように生理活性物質として体に役に立つものもあります。

水素は悪者の活性酸素であるヒドロキシラジカルを消し、一方のスーパーオキサイドには影響を及ぼさないといった面白い作用があります。

つまり、水素の抗酸化作用は生体が持つ抗酸化酵素(SODやカタラーゼなど)産生能を妨げず、ヒドロキシラジカルを選択的に制御できるということです。

抗酸化物質であるビタミンCやビタミンEは互いが協調し、それら自身が酸化されることで、体を酸化から守ってくれていますが、水素は酸化された脂質やビタミンCやEに電子を与えて、酸化を取り除くこともできることがわかってきました。

よって水素は体で重要な抗酸化物質を再度還元するリサイクル作用をもつ物質と言えます。

 

水素療法には水素水や水素サプリメントの飲用、水素ガスの吸入、水素点滴があります。森先生の実験では水素サプリを飲用した前後においてd-Rom(酸化ストレス)の低下、BAP(抗酸化力)の上昇が見られました。

さらに運動選手にサプリメントを与えたところ血清乳酸値の上昇が抑えられ、疲労しにくくさせることがわかりました。

また、尿中酸化ストレスマーカーである8-OHdGは一般的にがん患者で高くなりますが、水素サプリをがん患者さんに服用させたところ7日間でその値が低下してきたことを示されました。

サプリで急にがんが治るわけではないですが、酸化ストレスを軽減させていることが考えられます。

がん細胞は活性酸素を出して、周囲の間質を傷害し、転移や無限の増殖を可能にしています。水素には活性酸素を除去し、がんの増殖や転移を抑え、がん細胞内のミトコンドリア機能を復活させアポトーシスを促す作用があるので、水素点滴として直接血管からがんのある部位に作用させようという考えができます。

そこで森先生は生理食塩水に効率よく水素を浸透させる方法を研究して、質のいい水素点滴をつくり、がん治療に用いています。その結果は予想通り酸化ストレスの軽減が見られたようです。

がんが縮小したかどうかの結果は今回示されませんでしたが、今後が楽しみです。

 

また水素には酸化LDLを低下させる作用があり、動脈硬化、脳梗塞などの循環器疾患や活性酸素が関与するアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患への応用が考えられています。

さらに発展させると活性酸素が関与するすべての疾患に対して用いることが可能で、アンチエイジングや整形外科疾患の腰痛、変形性膝関節症、リウマチなどに注射として使っている医師もいます。

 

私自身このたび水素療法の可能性を感じましたので、さらに勉強を重ね、その有用性がはっきりした後、臨床応用してみたいと思います。