がんと闘うサプリメントと 機能性食品

がんにおける機能性サプリメントは数多く存在し、何が本当に良いのか迷ってしまいます。

さらに今年4月から機能性食品の表示方法が変ったことにより、どれもこれも体にいいことばかり書かれているので、さらにわからなくなってしまいます。

当院に来られる患者さんには初めにどのようなサプリを飲んでいるかを問診票に書いていただくのですが、必ずと言っていいほど何らかのサプリメントを飲んでおり、その中でもキノコ類、フコイダンが多いようです。

がんに対しては、慢性炎症を抑える、がんのアポトーシスを誘導すること、免疫力を上げることが大切で、これらの効果を持っている機能性サプリメントが必要です。

もちろんタンパク質の摂取、ビタミンB群、C、D、ヘム鉄、亜鉛などのベーシックなサプリはがんに対峙する強い体つくりには欠かせません。そして、がんは嫌気性解糖を行っているので、低酸素症の人、貧血状態が好きなので、貧血予防が特に大切です。

まずはベーシックなサプリで必要とされる栄養素を十分に摂った上で機能性サプリを加えていくやり方が、正しいと私は考えます。

フコイダンはワカメ、昆布、もずくなどの表面にあるヌメリ成分に多く含まれる多糖類です。抗腫瘍作用、免疫活性作用、インフルエンザ感染予防、血栓抑制、育毛作用の機能性は確認されています。フコイダンに含まれる硫酸基がカギを握っており、これが多く含まれる高分子のフコイダンが、低分子より抗腫瘍効果があるようです。基礎研究ではインターフェロンγの産生を促進しNK細胞を活性化したり、マクロファージに作用してIL12やTNFαの産生を誘導すること等の他に、腸のパイエル板からのインターフェロンγの産生を誘導することも分かってきました。特に副作用もなく安全性も十分確認されています。

フコイダンにはG,F,Uの3種類があり、その中のU-フコイダンは、がんのアポトーシスを誘導する働きがあることが最近分かってきて、その機能性に期待が持てます。函館近辺でとれる“がごめ昆布”にはフコイダンが多く含まれており、味が良いので私自身、がごめとろろ昆布を取り寄せて、いつもみそ汁に入れて食べています。

キノコ類は菌糸体から分離されるβグルカンという多糖体が機能性の元となります。中でもアガリクスはβグルカンを多く含むヒメマツタケを使っており、人気があります。ただ、平成18年にキリンウエルフーズが販売していた(今は販売していない)アガリクス顆粒が発がんを促進する作用があるとして問題になったことがあり、良い印象を持たない人も少なからずいるでしょう。

βグルカンは、分子量が大きいため小腸粘膜では吸収されず、小腸内の免疫組織であるパイエル板のM細胞を介して吸収されます。続いてパイエル板にいるマクロファージはそれらを貪食しIL12やインターフェロンγなどのサイトカインを作り出し、結果NK細胞を活性化させて抗がん作用を発揮します。

1985年池川らは10種類のキノコの熱水抽出物の抗がん作用を調べた結果、エノキタケとブナシメジに非常に高いがん増殖阻止力があることを見つけました。それぞれ動物実験をした結果、抗がん作用が認められ、その後両者を組み合わせたEEMという食品ができました。今度はEEMをがん患者さんに用いたところ特に副作用もなく、延命とQOLの改善がみられたようです。また長野県の疫学調査でエノキタケ生産農家のがん死亡率は、長野県全体の死亡率より4割低い結果がでており、EEMに期待が持てます。

クルクミン

ショウガ科の植物であるウコンに含まれるクルクミンは、ターメリックという香辛料としてカレーに使われ、私たちに大変なじみのあるものです。

ポリフェノールの一種で抗酸化作用があります。

二日酔いに効く健康飲料のウコンの力のCMを良く目にしますが、クルクミンを前面に押し出した健康食品の宣伝は少ないようです。当院で取り扱っているドクター向けサプリメントの会社もクルクミンサプリはなく、なかなか認知度が高まらないためか、積極的にウコン、クルクミンをとっている患者さんにはあまりお目にかかりません。ただクルクミンには抗がん作用があることが分かってきて研究も進んでいます。

クルクミンの大事な働きの一つに抗炎症があります。慢性炎症は発がんを促進すると同時に、樹状細胞やキラーT細胞の活性を弱め、免疫抑制系のT細胞の活性を高めてがんに対する免疫力を低下させます。クルクミンはこの慢性炎症を抑え免疫力を高めます。また多くのがん細胞は、NF-kβという転写因子が活性化されアポトーシスが起こりにくくなっております。クルクミンはこの転写因子の活性を阻害し、アポトーシスを促すことで腫瘍縮小効果を示すことが報告されております。さらにイレッサやFOLFOXなどの抗がん剤の効果を高める働きがあることも報告されており、今後が期待できるサプリメントです。がんとは関係ありませんが、クルクミンには脳におけるβアミロイドの蓄積を抑制し、アミロイド斑を減少させる働きもあり、アルツハイマー型認知症対策に使えそうです。

いずれの機能性食品も経口摂取して腸に運ばれて作用するものであり、その現場である腸の環境の良し悪しが、その機能性を十分発揮できるかどうかに関係しています。

そこで乳酸菌 ビフィズス菌などのプロバイオティクスの状態が重要になります。

プロバイオティクスは腸管関連リンパ組織(GALT)に働きかけ腸管免疫を高めるので、幾種類のヨーグルトを摂ったりプロバイオティクスのサプリメントを用いることも必要です。

多くのサプリが出ていますが、私が現時点でおすすめできるものを書きました。

これらの機能性食品を上手に使い、がん予防やがん治療のサポートに役立ててほしいと思います。

出典:teruterubozu.chesuto.jp