レスベラトロールの次は サルベストロールが来る!

このたびの点滴療法研究会の特別セミナーにおいて、サルベストロール(Salvestrol)というとても興味深いサプリメントに出会いました。

研究会の代表である柳澤先生がわざわざニュージーランドから生産者を呼び寄せてこれを紹介するなど、結構な力の入れようで、話の内容から私はこれからのがん治療に大いに役に立つ一品かもしれないと感じました。

サルベストロールは果物や野菜が真菌感染した際に自らを防御するために生成されるファイトアレキシンの一つです。ファイトアレキシンとは植物がストレスに応答して合成する抗菌性の物質のことで、メントールなどのテルペン類やモルヒネなどのアルカロイドがあり、また少し前にアンチエイジングで話題になったレスベラトロールも仲間です。

このサプリが作られる最初のきっかけはCYP1B1(シップワンビーワン)の研究にあります。CYP1B1は薬などを肝臓で解毒する際に働く酵素であるCYP450ファミリーの一つです。CYPは体内のさまざまな反応に関与しており、数種類あります。薬局で薬を処方される際によく注意書きされる薬とグレープフルーツの相性には小腸上皮のCYP3A4の働きが関係しています。

ただCYP1B1に限っては他のCYPと違って、正常細胞にはほとんど発現せず、がん細胞に特異的に発現することを1997年アバディーン大学のダン・バーク博士が発見したのです。(Murray et al. Cancer Res.1997;57:3026-31) その後ボストンのダナ・ファーバー癌研究所において1997年以降の32編の論文を調べたところ、ほとんどすべてのがん細胞にCYP1B1が発現することが確認され、CYP1B1は正常細胞とがん細胞を見分ける酵素として確立されました。

2002年にはダン・バーク博士の共同研究者であるゲリー・ポッター博士はレスベラトロールががん細胞内でCYP1B1によりピセアンタノールという物質に変わることを発見しました。このピセアンタノールには強力なチロシンキナーゼ阻害活性があり、がんをアポトーシス(細胞死)に導いて抗がん作用を発揮します。(Potter et al.Br J Cancer. 2002 Mar 4;86(5):774-8)

つまりレスベラトロールは正常細胞には悪さをせず、がん細胞に取り込まれるとCYP1B1により抗がん物質になり、がん細胞だけを攻撃するということです。

これを元にどういった天然物質が最も効果的かを探っていくうちに真菌防御で植物に生成されるサルベストロールに行き着いたのです。

実際にサルベストロールはリンゴ、クランベリー、ブドウなどの果物、アボカド、ニンニク、オリーブなどの野菜またバジル、ミルクシスル、ミントなどのハーブに含まれていますが、農薬散布により真菌がいなくなり、その刺激が減少しサルベストロールを生成しなくなるようです。

よって現代人のサルベストロールの摂取量は50年前の20%ほどに減少しているといわれています。

一方、無農薬の果物や野菜には30倍のサルベストロールが含まれるので、オーガニック農法でないとサルベストロールを取り入れることができません。

つまり農薬に頼りきっている私たちにとって、病気にならないためにいかにオーガニックが大切かがわかります。

しかし、サルベストロールの研究は浅く基礎研究の論文はあるものの臨床論文は未だ少ない状況です。その中でもニューヨークのシャクターセンターでは300人のがん患者さんにサルベストロールを投与したところ副作用もなく、特に肺がん、悪性リンパ腫や乳がんに対して効果があったようです。

また中国の南方医科大学でもDr.ZhaoとDr.Wangが中心となり臨床試験が始まっています。

一方、ドイツをはじめヨーロッパではすでに普及しているので臨床結果を待ちたいと思います。

サルベストロールはがん細胞がもっている酵素を逆手にとってがん細胞自身を死に至らしめる可能性のあるサプリメントで、がん予防だけでなく、今後の新たながん治療の選択肢の一つとして大いに期待できます。

また高濃度ビタミンCもがん選択的に働くので、サルベストロールとの併用療法も期待できます。

当院では1月より取り扱う予定でいます。

出典:ナリナリドットコム