腸内細菌のバランスを整えるための4R

先日、私の友人からそのお父様の体の調子が半年以上も優れないため、どうしたらよいかと相談がありました。

昨年半ばから食欲がなく、時々嘔吐し病院に行くも原因が分からず点滴を受けて帰宅することを繰り返していたようです。徐々に体力が落ち、とうとう今月に状態が悪化して集中治療室に入院してしまいました。

検査の結果、胃腸に真菌がいたことが原因とわかり抗生物質を投与され一命をとりとめ、現在快方に向かっていますが、嚥下障害になり胃ろうが必要な段階に至ってしまったようです。

カンジダはカビ(真菌)の一種で私たちの体にいる常在菌です。ストレスやホルモンバランスの崩れなど何らかの原因でカンジタが腸内で増えるとヘルパーTリンパ球のTh1/Th2のバランスが崩れて免疫が低下したり、腸粘膜の機能が落ちてリーキガット症候群のように吸収に不都合が生じます。

今回のケースのようにカンジダ菌感染症は倦怠感や腸の不調など不定愁訴があるので、自律神経失調症やうつ病などと間違われやすく、診断まで時間がかかってしまうことが多いです。

診断には便検査や尿の有機酸検査などがありますが、医師側がカンジダを疑わない限り検査にたどり着くことも大変でしょう。

こういった状況に陥る前に、私たちができる予防策として腸内細菌のバランスを整えておくことが大切です。

体内には1000兆個の腸内細菌がいて、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌、ウエルシュ菌、ブドウ球菌などの悪玉菌、バクテロイデスや無毒の大腸菌などの日和見菌に分けられ、この善:悪:日和見の比が1:2:7であることがバランスの良い状態であると考えられています。

バランスが整った状態であれば善玉菌がカンジダにつけ入る隙を与えません。

よって日ごろからヨーグルトを積極的に食べることは大切なのです。

また炭水化物の取り過ぎや抗生物質の使い過ぎにも注意が必要です。

腸を整えるためにヨーグルトを積極的に摂るとことはとても大切であり、私自身も毎日欠かさず摂っています。そして、来院される方々や在宅で診ている患者さんやそのご家族にも乳酸菌の必要性を話し、摂っていただいています。

ヨーグルトが苦手な方には乳酸菌のサプリメントをおすすめしています。

ただ乳酸菌のサプリメントも数多くあって、どれを選んだら良いのか非常に迷います。

そういったときに大事なのが4Rです。

私が栄養学の基本としている分子栄養の考え方の一つに4Rという腸内環境改善のための方法があります。

4Rは身体の防衛機能の最前線である消化器系の健全性を取り戻し、保つことをコンセプトとしており、腸内において①Remove(除去)②Replace(補てん)③Reinoculate(植菌)④Regenerate(再生)の4つのRが大切であることを表しています。

①    Remove(除去)は腸内細菌のインバランスなどを引き起こす有害菌やウイルス、毒素(薬物、アレルギー物質)、環境ホルモンなど消化管の環境に悪影響を与える原因物質を除去することで主にカンジダの除去をターゲットとしています。

②    Replace(補てん)は加齢、ストレスなどで消化酵素の分泌が低下し消化不良が続くと、病原菌による未消化物の異常発酵などで消化管の負担が増大し、全身に悪影響が出るため、消化酵素を必要に応じて加えることをいいます。

③    Reinoculate(植菌)は乱れた腸内細菌叢のバランスを整えるためにプロバイオティクスを腸内に送り込みます。

④    Regenerate(再生)は常に有害物質にさらされている腸管粘膜を修復と再生するためにプロバイオティクスの餌となる食物繊維やオリゴ糖などのプレバイオティクスやグルタミン、ビタミンAなどの腸管免疫にも重要な栄養素を与えることです。

具体的な成分として

①    除去には抗菌作用のあるオレガノオイルやセージなどのハーブや免疫グロブリンを含む乳清そして免疫調整作用のあるラクトフェリンを使用しています。

②    補てんでは糖質、タンパク質、脂質、食物繊維を分解する酵素が含まれますが、この中のプロテアーゼがカンジダの抵抗性の元となるバイオフィルムを破壊します。

③    植菌では乳酸菌(アシドフィルス)とビフィズス菌(ラクチス)を1カプセルにそれぞれ150億個ずつ含んだものを用います。

④    再生では炎症、便秘、下痢などの症状に応じたアプローチがあり、抗炎症にcox-2阻害作用のあるホップ抽出物やクルクミンを用い、便秘がメインの場合イヌリン、プランティンフルーツ末、米ぬかを用い短鎖脂肪酸の生成に役立てます。下痢には腸粘膜の再生を目的にL-グルタミンやカンゾウ、アロエベラ抽出物を用います。

少し複雑になりましたが、一つひとつが緻密に考えられ作られています。

4Rの考え方は分子栄養学的に腸を十分に研究した結果得られたもので、とても理にかなっていると思います。

また、これらの上手な使い分けで腸内環境が整えられるようになったことは、かなりの進歩であると思います。

病気になり、根本から治そうとしたときに、まず腸の環境はどうなのかを第一に考え、その環境を改善し整えるために4Rの基本を思い起こせばきっとうまく行くでしょう。

photo:Be Brain Fit