健康寿命はいい歯医者さんとの出会いにより伸びる!?

いい出会いがあり、その関係が続くことは幸せなことであります。

また、出会えそうでなかなか出会えないのは、ちょっとしたストレスですし悩みにもなります。

私が長年求めていたのは、近所のいい歯医者さんです。

昔、治療したところの詰め物が取れたり、歯が欠けたり、何年かに一度トラブルに見舞われますが、それを最小限に抑えるためと最近話題の歯周病などの予防のために、定期的に通える歯科クリニックを探していました。

昨年やっと、以前ブログで書いた“かなで”(暮らしの保健室)の福田さんからこばやし歯科クリニックの小林院長先生をご紹介いただき、実現できました。

福田さんとの出会いがなければ小林先生とも出会えなかったわけで、一つひとつの出会いがとても大切であると改めて感じました。

初めての小林先生の治療はとても丁寧で確実で、十分な説明があり、安心した覚えがあります。他の先生や歯科衛生士さんも同様に好印象で、私はこばやし歯科クリニックにこれからも通い詰めようと思います。

このクリニックとは以前から在宅患者さんの口腔ケアをお願いする関係がありましたが、お互い顔の見えない間柄でした。しかし、このたび訪問歯科部門の斎藤先生とも知り合うことができ、これからは優しい笑顔の先生を思い浮かべながら、多くの患者さんを紹介していけることも一つの喜びとなりました。

在宅医療において常に問題となるのが、誤嚥性肺炎です。

これは飲み込む力の衰退により食べ物が誤って気管から肺に入り込み肺炎がおこり、適切な治療をしないと死に至る危険な病態です。

斎藤先生は口腔の専門家としていち早く摂食嚥下障害を発見し、内視鏡にてその障害の程度を評価し、姿勢、一口量、食べるペースなどを指導し誤嚥予防に尽力しています。

最近では言語聴覚士(ST)による嚥下リハビリや管理栄養士による栄養指導も合わせた多職種の連携により誤嚥性肺炎を予防するようになってきました。

また、誤嚥予防に対する別のアプローチとして、なじみのある食材、薬物を用いたものがあります。

嚥下反射と食べ物の温度との関係では、体温に近いほど反射が遅れ、体温から離れた冷たいものや温かいものでは反射が早くなる特徴があり、これは末梢神経のTRPという温度受容体が感知しています。

このTRPを刺激する食材として冷感のメンソールや温感のカプサイシンがあり、これらを高齢者に用いた実験ではいずれも嚥下反射を改善する結果が得られました。

つまり高齢者には体温に近いぬるめの食事だけでなく、温度にメリハリのある食事を摂っていただくことも大事であることが伺えます。

またブラックペッパーの香りが脳を刺激して嚥下反射を改善したり、口腔内の感覚や反射に関係するサブスタンスPという物質の血液中の濃度を上昇させることも分かりました。東北大学の海老原先生はブラックペッパー精油を染み込ましたアロマパッチを開発し、誤嚥性肺炎の予防に応用しています。

そして、カプサイシントローチやミント入りゼリーを併用することで、誤嚥性肺炎をおこした患者さんが再び上手に経口摂取できるようなアプローチの研究もされています。

兵庫県の西播磨総合リハビリセンターの吉田先生はアロマパッチを誤嚥性肺炎の既往のある高齢者に用い、嚥下能力と咳嗽力(咳をする力)が改善したことを報告しています。パッチは胸元の衣服の内側に貼るだけなので簡単に扱えるため、私も今後用いたいと思います。

誤嚥性肺炎の予防に大切なことは口腔ケアです。

口の中にも腸と同じように善玉菌と悪玉菌がいて、高齢で唾液の分泌が少なくなったり、歯磨きがおろそかになると(プラーク)歯垢で悪玉菌が増殖し口腔内環境が悪化します。この状態で誤って菌が肺に入ってしまうと容易に肺炎を引き起こしますので、歯磨きで清潔を保つことが大切です。

そして高齢者だけでなく私達も常日頃から口腔ケアをすることが大切です。私は2か月に一度、こばやし歯科クリニックで歯科衛生士さんにメンテナンスをしてもらっています。

また口腔内の健康を保つ上で大切なことは栄養です。

歯周病はプラーク中の歯周病菌の刺激により歯間リンパ系細胞から活性酸素を放出し殺菌しようとする働きにより慢性炎症が起き続ける病態です。

この時に原因となる活性酸素に対して抗酸化作用のあるビタミンEやビタミンCの補給が必要になります。

ビタミンCやEと抗酸化ネットワークを形成するCoQ10は実験的に歯肉の酸化ストレスの抑制し、プラークや歯肉からの出血や口臭を低下させ、ドライマウスにおいては唾液分泌量を増加させる働きがあることが分かりました。

アスタキサンチン(赤や黄色を呈するカロテノイド)は活性酸素の除去と過酸化脂質の生成を抑制する働きがあり、実験的にアスタキサンチン摂取後、唾液中の脂質の過酸化マーカーであるHEL(ヘキサノイルリジン)が減少することも示されました。

そして、大豆に含まれているイソフラボンは腸内細菌によりエクオールなどに分解されエストロゲン様作用を有します。乳癌に対してはエストロゲン受容体との競合阻害により抑制的に働く他、歯槽骨の吸収抑制、歯の再石灰化促進、唾液分泌障害の改善に働きます。このように歯の健康維持には抗酸化能をもつ栄養素を十分に取り込むことが大切になります。

最近では口腔内の環境の悪化が、心臓病やがんなどの大きな病気につながることも分かってきており、また高齢者の場合は肺炎を引き起こして寿命を縮めることに直結するので、私たちは軽く思いがちな歯や口腔に関して、いま一度真剣な見直しが必要であると思います。私自身、歯に気を使うことで体全体にも気を使うようになりましたし、患者さんの歯に関しても注意をするようになりました。

なにより、私はこのたびのいい出会いにより自身の健康寿命が大きく伸びた気がしています。

photo:CFAH