糖質はメイラード反応を介して病気の元になる

糖質を摂りすぎると体調不良や病気になります。

糖質は生きていく上で絶対必要なものですが、過剰になると体内で変な反応が起こり細胞に悪影響を及ぼします。この変な反応の一つがメイラード反応です。

一方、メイラード反応は体外でも見られ、美味しそうなパンの皮の褐色や味噌や醤油の褐色変化はこの反応によるものです。食品の見た目、味、香りにはプラスですが、食品中のタンパク質やアミノ酸の生体利用性を低下させたり、ポテトチップスに含まれ発癌物質であるアクリルアミドの生成に関与したり、発癌物質生成を促す反応としてマイナス面があります。

そもそもメイラード反応は“タンパク質”と“糖”との間の濃度と温度と時間に規定される非酵素的な化学反応であります。具体的にはタンパク質のアミノ基-NH2と糖のアルデヒド基-CHOが出会いアマドリ化合物が形成されその後、脱水、縮合、酸化、転移などの反応を経て最終的にAGEs(糖化最終産物)がつくられます。アマドリ化合物を代表する有名な物質として糖尿病の重症度を示すヘモグロビンA1cHbA1c)があります。そして、AGEsはその沈着により皮膚のくすみやしわ、骨粗鬆症、白内障など体の老化を引き起こします。

体内にはさまざまなタンパク質があり糖と出会うことによりメイラード反応が起きます。その中にはヘモグロビンの他にアルコールデヒドロゲナーゼなどの酵素類やアルブミンなどの血漿タンパク、インスリンなどのホルモン、コラーゲンやケラチン、赤血球などの細胞膜タンパク質があります。

さらに、DNAはリン酸,糖、塩基で構成され-NH2を持っておりDNAにもメイラード反応が起こります。DNAが外部環境により変化するといったepigeneticな修飾は酵素的なメチル化だけでなく、非酵素的なメイラード反応の中間代謝産物のメチルグリオキサールが関与しており、病的な修飾が起こり得ます。

メイラード反応の厄介なところはアマドリ化合物が自己酸化の過程で活性酸素種を発生することです。活性酸素種には過酸化水素や一酸化窒素、スーパーオキシドと最もたちの悪いヒドロキシラジカルがあります。ここで発生するフリーラジカルは反応性が高く体内の細胞を傷つけます。ラジカルがDNAを攻撃した場合、DNAが変化し細胞が癌化する恐れもあります。一方、好中球が生成するスーパーオキシドは殺菌作用や抗腫瘍効果のメディエーターであり生体防御で大きな役割を果たしている側面もあります。

また体内には活性酸素を消去する仕組みが備わっており、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)やカタラーゼがその役割を演じます。

もし体内でこれらが足りなくなるといけないので、常にビタミンCやビタミンEなどの抗酸化剤を取っておく必要があります。

老化や病気の原因の一つに酸化ストレスがあります。酸化ストレスとは体内で過剰に発生した活性酸素がタンパク質、核酸(DNA)などの生体成分を酸化し臓器障害に至らしめることです。

メイラード反応はこの酸化ストレス原因になるだけでなく、ストレスをさらに増大させるので注意が必要です。

糖尿病のように長時間にわたる高血糖状態では体内でタンパク質と反応しメイラード反応が起こりますが、2011年IDF(国際糖尿病連合)のガイドラインによると2型糖尿病患者では慢性的に持続する高血糖よりも食後血糖値の急激な変動の方が酸化ストレスおよび内皮機能に対する誘発作用がより顕著であり、食後高血糖の治療によって酸化ストレスや炎症、内皮機能不全、血栓症を改善することができると明記されました。

2016年10月のNHKスペシャルでは“血糖値スパイクが危ない”と食後高血糖が血管病変だけでなく、突然死やがんにも関わることが紹介され、この認識が広く知れ渡ったようです。

実際にHbA1cとがん罹患の関係でHbA1cの上昇とともに特に6.5以上でがん罹患リスクは1.43と高まり、高血糖はメイラード反応を介してDNAを変化させがんリスクを高めると考えている人もいます。

また糖尿病の患者のアルツハイマー病発症リスクは健常者の1.42.4倍であり、脳内にたまるアミロイドβがメイラード反応の産物の可能性があることから高血糖がメイラード反応を介して認知症に関与するという考え方もあります。

そして九州大学の調査では糖尿病患者でなくても、(空腹時血糖ではなく)負荷後2時間の血糖値が認知症に相関することが示されました。

よって、食後高血糖にならないような食事法が大事です。つまり糖質制限で行われている食事の量や順番(野菜タンパク脂肪糖質)、GI値の低い食材の選択などが必要です。

一方、糖尿病薬のメトホルミンという薬は糖尿病だけでなくがんやアルツハイマー型認知症にも有効といわれています。その理由としてメトホルミンは分子中にアミノ基を有する化合物であり、メイラード反応を阻害するようなので、今後積極的に使われることが望ましいかもしれません。

厳密な糖質制限は長持ちしないので、少し緩めの糖質制限(米、パン、ラーメンを自身が満足する量の半分にする)をはじめて食後高血糖にならないよう注意しましょう。

また、糖尿病にならないよう運動を取り入れましょう。

photo: myvega.com