運動器の老化も酸化ストレスが原因だった!すぐにビタミンCをはじめよう

体のサビが糖尿病、認知症やがんなど様々な病気の原因になるとよく言われています。

サビとは酸化のことで、体が酸化するつまり、細胞が酸化されると細胞は機能不全に陥ります。細胞がダメージを受ければ当然体もダメになります。よって体をサビさせない抗酸化がとても大切です。

今まで、内臓や血管などの臓器に対して酸化の弊害が多く論じられていますが、骨、軟骨、筋肉などの運動器の基本的パーツに対しては注意がされていない印象です。

骨、軟骨、筋肉はサビるのでしょうか?

順天堂整形外科の野尻先生は運動機能の低下が介護状態をもたらすロコモティブシンドロームと酸化ストレスの関係を研究しており、運動器の酸化について最近とても興味深い結果を数多く出されています。

まず酸化ストレスとは生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ、酸化が多くなった生体にとって好ましくない状態であると定義されています。

どうして酸化が進むか?

私たちが吸った酸素は細胞に届き、細胞内で酸素を使ってブドウ糖からエネルギーを作る際に細胞内のミトコンドリアから活性酸素が出てきます。この活性酸素が細胞を酸化させサビの原因になります。

つまり、エネルギーを沢山作ろうとするとミトコンドリアがフル回転して活性酸素を大量に発生させます。

活性酸素にはスーパーオキシドや過酸化水素などがありますが、なかでもヒドロキシラジカルという活性酸素が最も反応性に富み細胞毒となります。

マラソンなどの激しい運動を続けると活性酸素が体内に充満し、あまりよろしくない状況に陥ります。

しかし、幸いなことに私たちの体内にはこの毒を消す酵素が備わっています。それがSOD(スーパーオキシドデスムターゼ)という酵素です。

ただ、残念なことにSODは加齢とともに減少してゆくのです。

SODには細胞質内にあるSOD1とミトコンドリアに局在するSOD2があります。

野尻先生たちは酸化ストレスから私たちを守るこのSODが少なくなると運動器にどういった変化が起こるか、骨、軟骨、筋肉の順で、人為的にSODを持たなくした遺伝子欠損マウスを使って調べました。

まず、骨においてSOD1欠損マウスでは骨内細胞を培養するとスーパーオキシドが増えてきて、アポトーシス(細胞死)が起こるようになり、結果的に骨の質の低下をもたらしました。骨の質と量が低下すると骨粗鬆症に陥ります。

さらに実験を進めるとSODは骨量減少、骨質劣化や廃用性骨萎縮の防御に働いていることがわかりました。

またSOD2が欠損するとやはりスーパーオキシドが増えて骨形成の低下、骨吸収の増加が起こり骨細胞間のネットワークの破綻とともに骨量の減少が起こりました。このことからSODは良い骨を維持する上でとても大切であることが示されました。

軟骨においては変性が進むことで高齢者を悩ます変形性膝関節症が問題となります。じっとしていても膝が痛い。動かすとなお痛い。だから動かない。動かないと膝が固まり寝たきりになる。とても怖い病気の一つです。

これも遺伝子の研究からSOD2の減少が関係していると言われていました。

野尻先生たちは軟骨に特異的なSOD2欠損マウスをつくり、ストレスを加えたところ軟骨の変性がより強く表れました。これを深く調べていくとミトコンドリアの機能不全による細胞外基質の形成不良が関係していることがわかりました。つまり、軟骨におけるSOD2の減少によるスーパーオキシドの増加が変形性関節症の原因であることを突き止め、軟骨においてもSODの必要性が示されました。

骨格筋においても骨格筋に特異的なSOD2欠損マウスを使って調べたところ、筋肉持久力や走行能力の低下がありました。細胞レベルで調べてゆくとミトコンドリア内膜にある呼吸鎖複合体というタンパク活性の著しい低下により筋肉内のATP、エネルギーがほぼ枯渇している状態でした。つまりSODがないと筋肉は働くことができず、骨格筋でもSODが大切であることがわかりました。

 

以上よりスーパーオキシドによる酸化ストレスが運動器加齢変化の原因であることが今回の研究によって示されたわけです。

つまり私たちにとって大切なことは酸化ストレスを制御することで加齢変化を遅らせロコモティブシンドロームに陥らないようにすることです。

そのための予防戦略として野尻先生は①SOD活性をもって活性酸素を消去するようなSOD類似物質、抗酸化薬の投与 ②SODを活性化させるような遺伝子の上流の制御 ③下流の制御をあげています。

そこで抗酸化薬の投与の中でビタミンCを用いSOD1欠損マウスを使って調べたところ、ビタミンC摂取量と骨密度が正の相関を示し、骨量と骨強度が完全に回復しました。軟骨に対しては親油性にしたビタミンCをSOD2欠損マウスに注射したところスーパーオキシドは減少し、軟骨変性を軽減させる結果が得られたようです。

また、SODの上流には長寿遺伝子と呼ばれているサーチュイン遺伝子があり、これを活性化するためにはカロリー制限やレスベラトロールまたはNAD(ニコチンアミドアデニンヌクレオチド)などが必要であると野尻先生は述べています。

 

やはり運動器においても他の疾患と同様に酸化ストレスが悪さをしてサビることが明らかになりました。

特に運動器がやられると健康寿命が短くなり、亡くなるまで寝たきりで、つらい日々を送らなければなりません。

よって単なる長生きではなく健康寿命を延ばすために、私たちは日々抗酸化の努力をし続ける必要があります。

さまざまな抗酸化アプローチがありますが、まずはビタミンCを摂ることからはじめてみてはいかがでしょうか。

photo: seattleorganicrestaurants.com