琉球温熱と深部体温と毛細血管の関係

今年から東京白金にある石原内科クリニックの石原潤一が琉球温熱療法の新たな仲間となりました。もともと先生はがんの研究をしてきた内科の専門家です。

クリニックでは自律神経のバランスを整えて毛細血管を拡張させ血流を良くするメディカルカッピングを行っています。先生は毛細血管の血流を改善することが病気にならない状態の未病に大切であると考えており、そのために新たに琉球温熱を取り入れました。

そもそも毛細血管とは手足の先端や脳、肺、肝臓、腎臓などで動脈と静脈をつなぐ細い血管で網目状になり、周囲の細胞と間質液を挟んで酸素と二酸化炭素のガス交換や栄養のやり取りや老廃物の回収などを行っています。人体の血管の95%が毛細血管といわれています。

具体的には毛細血管の太さは約10ミクロンで、毛細血管の壁にはさらに小さい穴が開いていて、この穴から酸素 グルコース 脂肪 ホルモン 電解質 薬物成分が間質液(組織液)中に流れていきます。これを細胞が摂取し二酸化炭素 代謝産物 老廃物を排泄しその90%は毛細血管に戻り、残りの10%はリンパ管に入ります。

通常の血管は3層構造であるのに対し、このように毛細血管は繊細な仕事を行うので非常に細く作られており一層の内皮細胞の周囲は壁細胞で補強されています。逆に内皮細胞と壁細胞だけであるため血流や血液の影響を受けやすくとてももろい構造ともいえます。

毛細血管のゴースト化とは内皮細胞と壁細胞の細胞間相互作用が破綻することにより管腔構造が維持できなくなった無機能血管状態をいいます。このような状況に陥ると間質中に液漏れが増えて、体のいたるところにむくみが出てくるので注意が必要です。

毛細血管は年齢とともに減少してゆき、60代は20代と比べ40%ほど減少するといわれています。

また、毛細血管の血流が悪くなる原因として

1.過度な精神的ストレスや睡眠不足による交感神経の亢進による血管収縮

2.高血圧 高脂血症 糖尿病 運動不足による動脈硬化で血管壁が固くなり血管が細くなる

3.環境ホルモン ブルーライト 激しい運動などでフリーラジカルが増加で毛細血管が傷つくことなどがあげられます。

特に自律神経との関係では、交感神経の興奮により細動脈の血管平滑筋の収縮と毛細血管への血流を調整する前毛細血管括約筋が収縮して毛細血管の血流が低下します。そのため血流はバイパス(優先路)を通り静脈へ抜けてしまい十分な酸素や栄養の受け渡しができなくなります。

よって毛細血管が減少し血流が悪くなると周囲の細胞に悪影響を与え、細胞死に至ることも起きて不健康な状態に拍車がかかります。

特に毛細血管が豊富な脳や腎臓の機能が低下し、微小脳梗塞(脳血管性認知症の原因)や慢性腎臓病に至る危険性もあります。

しかし、私たちの体には毛細血管を修復し再生する能力が備わっています。

毛細血管が傷つくと、成長ホルモンによって修復されます。その成長ホルモンはノンレム睡眠中に多く分泌されるため十分な睡眠により修復が可能となります。また睡眠中は副交感神経が優位なため血流がよくなり毛細血管の新生が行われます。

大阪大学の高倉信幸先生は修復に関して、内皮細胞に発現するレセプター型チロシンキナーゼTie2が周囲の壁細胞から分泌されるアンジオポエチン1により活性化されることで内皮細胞と壁細胞の再接着が促され血管構造が安定化すると述べています。また桂皮(シナモン)にTie2の活性化をうながす可能性があるようです。

そして適度な運動などで毛細血管の血流をよくすると、内皮細胞から血管内皮成長因子が分泌され新生血管が促進されます。この場合の運動としては30分ほどのウオーキングやふくろはぎを刺激するためのかかと上げ下げ運動が有効です。

毛細血管と深部体温の関係も大切です。

深部体温は体の深部(核心)の温度で、脇の下で測る表面体温より、0.5から1.0度ほど高くなっています。深部体温が高い理由は、身体の重要な臓器(心臓、肺、脳)に温かい血液を送り込み細胞の活性化を維持するためで、37.0~37.5度に保たれて、通常の環境変化では、±0.2度ほどしか変化しません。

深部体温が下がると毛細血管の血流が低下して細胞の機能障害が起こり病気や老化が進みます。深部体温が1度下がると免疫力が約30パーセント低下して、肺炎やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。

またがん細胞は35度前後が最も増殖するといわれ、深部体温が下がるとがんの発病率が上がる可能性があります。

新陳代謝は10~20%下がり、脂肪 老廃物の排泄機能が低下して肥満になりやすいため深部体温は高い方が良いとされます。

当院で調べたところ、琉球温熱の施療により深部体温は約1度上がります。

石原内科クリニックでは深部体温に加えて末梢血流量、毛細血管の血流量と血流速度を検証したところ、琉球温熱後にいずれも有意に増加した結果が得られました。

よって琉球温熱療法は深部体温を上げることで、温かい血液が流れ、毛細血管が拡張し、毛細血管の血流が良くなる方法であることがいえます。

毛細血管を良い状態に保つことは、未病の改善と健康の維持にとても大切であり、そのために琉球温熱療法は有用な方法となるので多くの方に受けていただきたいと思います。

photo: Antranik.org