マインドフルネス

平昌オリンピックがはじまり、極寒の中、熱い戦いが連日繰り広げられています。

この日のために鍛錬してきた力を思う存分発揮できることを願うばかりです。

しかし、中には「こんなはずじゃないのに」と自らが思っているような演技ができずに終わってしまう選手も何人かいるでしょう。なぜか本番に弱い。そのなぜかの大部分は心、メンタルに関係していると考えられます。

最近ではスポーツ選手がメンタルトレーナーをつけて、練習だけでなく生活にまでアドバイスを取り入れて、その結果良い成績を残す選手も増えてきているようです。

普段生活している私たちも同様に仕事や人間関係などで悩むことがあります。

このようなときに一緒に考えてくれるメンタルトレーナーのような人が身近にいればどれだけありがたいかと思います。しかし、皆がメンタルトレーナーにお世話になれないので何らかの方法が求められます。

現代に生きる私たちは多少のストレスを抱えて生きています。その対処法としてマインドフルネスが2010年ころから日本でも注目され始めました。

世界では有名な起業家や経営者、スポーツ選手の間ですでに広がっていました。

マインドフルネスは呼吸に注意を向ける瞑想法の一種で、宗教性はないとされています。

2013年の1万2千人を対象としたメタ解析においてマインドフルネスは心理的な問題、特に不安、うつ、ストレスの減少に効果があることが示されました。(Clinical Psychology Review,33-6,Aug 2013,763-771)

マインドフルネスの第一人者で精神科医の久賀谷先生によるとマインドフルネスとは「明確な方法で何かに注意を向けること」であるという。

何かに興味を持ち、良い悪いといったジャッジをせずに注意を向け、さまざまなことに気づき、過去でも未来でもなく現在を認識することが大切であると述べています。

つまり、今ここにいる私を考えることで、過去の嫌な事や未来の不安によるストレスの蓄積を予防できるようになります。

また、久賀谷先生は世の中には人種や宗教、性別などへのジャッジで溢れており、ジャッジしたりされたりすることで、敵味方という区別や感情的な好き嫌いが生まれ、そこにストレスが発生する原因があると述べています。

脳の中では何が起こっているのか?

久賀谷先生によると脳の中には雑念を生み出し沢山エネルギーを消費するDMN回路(デフォルトモードネットワーク)というものがあり、これは内側前頭前野、後帯状皮質、楔前部、下頭頂小葉など複数の脳部位から構成されています。

このDMN回路が過剰に働くと脳が疲労しストレスが発生するといわれ、よってこのDMN回路の鎮静化がストレスを抑えるkeyになります。

世界で様々な実験が進み、マサチューセッツ大学のブルワー先生はマインドフルネスによりDMNの一部(内側前頭前野、後帯状皮質)の活動が低下することを見出しました。

また大脳皮質が厚くなったという報告の他に脳の萎縮抑制や海馬の密度増加などマインドフルネスによる脳の構造変化も報告されるようになりました。

マインドフルネスの代表的な実践方法にはマインドフルネス呼吸法があります。一言でいうと、「いまここにいる」を意識させる呼吸法です。

1. 基本姿勢をとる 椅子に座りおなかはゆったり、手は太ももの上、目は閉じる。

2. 身体の感覚に意識を向ける 接触の感覚(足の裏と床、おしりと椅子、手と太も  もなど) 身体が地球に引っ張られる重力の感覚

3. 呼吸に注意を向ける 呼吸に関わる感覚を意識する(鼻を通る空気や呼吸の深さなど) 深呼吸や呼吸コントロールをせず、鼻で自然な呼吸をする。

4. 雑念が浮かんだ事実に気づき、注意を呼吸に戻す。このとき雑念は生じて当然なので、自分を責めない。

この呼吸法はできるだけ同じ時間帯、同じ場所で1日5分でも10分でも良いので毎日続けることが大切といわれています。

マインドフルネスは気づくことから始まるので、いま見えているものを口に出して言ってみることを数秒でも良いから行い、現在に在ることを感じるのがポイントと久賀谷先生はすすめています。

すべてがマインドフルネスで解決するわけではないと思いますが、とても簡単なので、取り入れてみてはいかがでしょうか?

疲れない脳になればもっと楽に生きられるかもしれません。

 

平昌にいる選手には心を落ち着かせて実力を発揮できるよう祈っています。

photo: HOSPICE of the VALLEY