隠れ疲労には抗酸化が大切

現在、国会で働き方改革についての議論が大詰めを迎えようとしています。

一億総活躍社会を目指す一方で長時間労働や過労死の問題をいかに解決してゆくかが大事な点です。

多くの方が悩まれていると思いますが、当院にも肩こり、冷えや疲れを訴えて働き盛りの女性が来られます。

疲労という言葉において“労”は心や体を使ってそのことに努めること、“疲”はくたびれて力が弱ることとされ、まさに疲労は働いた結果もたらされる体に良くないものとも言えます。

寝たり食べたりすることで日々うまく疲労を打ち消すことができる人がいる一方で、疲労が蓄積しているのになかなか気づかず、病気や死に至ってしまう隠れ疲労の人がいます。

隠れ疲労は大阪市立大学の梶本先生が提唱した言葉で、休んでも取れないグッタリの正体と説明しています。

隠れ疲労には以下の6つの重要なサインがあります。

1.何事もすぐに飽きてしまう

2.電車に乗ると、次の駅に着くまでに寝落ちする

3.起床4時間後に眠気やだるさがある

4.口唇や脇にヘルペスができる

5.夜中に何度も目が覚める

6.体臭がツーンとする

これらのサインの根底には脳の疲労、自律神経の問題、免疫力の低下、肝機能低下などがあります。

これを回復させようと栄養ドリンクやお酒を飲んだり、うなぎや焼き肉を食べたり、熱い温泉に浸かったり、運動でリフレッシュを望んだりしてもあまり効果がありません。

つまり、一時的に疲労感を軽くしても根本の疲労は取れないという事です。

最近分かった疲労のメカニズムは、まず仕事、運動、ストレス、睡眠不足など体に降りかかった負担が間脳の視床下部という自律神経の中枢に伝わります。続いて自律神経への刺激の増大により細胞周囲の活性酸素が増えて視床下部にダメージを与えます。その後視床下部から眼窩前頭野にその情報が伝わることで、「体が疲れた」疲労感として認識します。

自律神経は呼吸、心臓、血流、消化吸収など生命維持に関わっているのであまり負担がかかりすぎると生命の危機に至るため、前頭葉から体に抑制をかけるのです。

しかし、モーレツに働き過ぎの人は神経が高ぶり、ドーパミンやβエンドルフィンといった快感、興奮物質が眼窩前頭野の信号を打ち消してしまい疲労を疲労感として認識できなくなってしまいます。

この疲労感のマスキングがまさに隠れ疲労の正体なのです。

疲労に関係する物質として疲労因子FFが2008年に発見されました。

以前、疲労といえば乳酸が原因といわれていましたが、近年乳酸により疲れが生じることはなく、逆に細胞の疲弊を予防する働きがあることがわかりました。

FFは細胞の酸化によって血液中に増加し疲労感をもたらします。

また同時にFFに対して疲労回復物質FRが作られ、自身が酸化されることにより疲労回復をもたらします。

しかし、隠れ疲労においては活性酸素がFRを上回る勢いで発生するので細胞の傷が癒えず、機能障害や老化そして過労死などにつながります。

隠れ疲労に近い疾患としてアメリカでは慢性疲労症候群があります。これは半年以上にわたって極度の疲労感が続き、筋肉痛、リンパ節の腫れ、発熱などの症状があらわれて日常生活が営めなくなる疾患です。

特定の治療法はまだ確立されていませんが、マグネシウムやビタミンB群が有効なケースもあるため当院ではマイヤーズカクテルというB群が多く入った点滴を行っています。

隠れ疲労に対しては酸化が主な原因となるため抗酸化作用のあるビタミンC、E、アルファリポ酸などが適していると思われますが、梶本先生は23個の抗疲労物質から有効な4つの物質を探し出しました。

それはクエン酸、コエンザイムQ10、リンゴポリフェノール、イミダペプチドです。

中でもイミダペプチドは渡り鳥が休むことなく長距離を飛ぶための物質として発見され、すでに健康食品として販売されています。

イミダペプチドは体内で吸収時にβアラニンとヒスチジンに分解され、酸化が起こっている部位で合成酵素により再びイミダペプチドになり作用します。また、イミダペプチドは抗酸化作用、疲労因子FFの軽減、細胞に機能低下の抑制が実証された特殊な物質なといえます。

隠れ疲労に強い味方があり頼もしい限りですが、まずは休息し、睡眠の質や時間、自律神経の安定化などに取り組むことが大切です。

また食事の点からはタンパク質や抗酸化物質の摂取が大事ですし、

当院の琉球温熱でリラックスしながら点滴をすることも可能です。

 

最後に働き方改革は制度と健康が直結する問題なので、是非とも皆が無理をしないで働ける環境が作れるようにしてもらいたいと思います。

photo: Markovit