いつまでも健康でがんにならないように緑茶を飲もう! 進む分子生物学的緑茶研究

私は毎日欠かさず緑茶を飲んでいます。

3年前、2013年5月に「緑茶を飲んでがん予防」というブログを書いた手前、ずっと続けています。緑茶には胃がん、肺がんの予防効果があって、そのカギを握るのが4種のカテキンの中のEGCG(エピガロカテキンガレート)であるとお話ししましたが、最近ではその仕組みがさらに明らかになりエビデンスも積みあがってきました。また、がん以外の病気や健康にも影響力を持つことが分かってきたので、今回はそのあたりをご紹介したいと思います。

もともと日本人は長寿であることから、緑茶を飲むことが病気の予防や長寿に影響を及ぼしていると普通に考えられます。

国立がんセンターの井上先生の研究では、1990年から始まった14万人の日本人地域住民を対象とした多目的コホート研究(大規模疫学研究)において男女とも80パーセントの人は毎日緑茶を飲用する習慣があることがわかりました。

続いて緑茶の飲用とがん、心臓、脳、呼吸器などの主要死因死亡リスクとの関連では1日2杯以上の緑茶飲用量が増えるにつれて死亡リスクが低下する傾向が見られました。またカフェインも摂取量に応じて同様に死亡リスクの低下がありました。理由としてカテキンによる脂質、血糖の調節、改善効果やカフェインによる血管内皮の修復や気管支拡張作用が死亡につながる危険因子を除去しているためと考えられています。

がんとの関連で、まず胃がんでは女性で1日5杯以上飲む人は胃の上部3分の1と下部3分の2で分けた場合、下部での胃がんの明らかなリスクの低下があり、胆道がんでは7杯以上飲む人に有意な低下がありました。前立腺癌では前立腺を超えて外に広がっている進行性と内にとどまっている限局性を比較したところ、緑茶の飲用が多いほど進行性のリスクの低下が見られました。甲状腺がんは少し変わっており、閉経前の女性では緑茶を良く飲む人ほど甲状腺がんになりやすく、一方、閉経後では良く飲む人ほどなりにくい傾向が見られました。そのほか大腸がん、肝がん、膵がん、乳がん、膀胱がんでは関連は見られませんでした。

疫学研究からは緑茶の効果は限定的な感じに受け取れますが、私は緑茶には少なからず抗がん効果があることが重要と思います。それには分子生物的な手法で研究を進める必要があります。

九州大学の立花先生は緑茶の効果を明確にして、さらに引き出そうと日々奮闘されており、今やカテキン研究の第一人者です。そもそもカテキンは巷で良く聞くポリフェノールという物質でありフラボノイドと総称される成分の一種です。そのカテキン類の一つであるEGCGは他のカテキンと比較して強い生理活性を示すとともに茶以外の植物には見いだされていないお茶特有の物質です。

体内には細胞を支持する基底膜があり、この基底膜を構成する糖たんぱく質にラミニンがあります。ラミニンは細胞接着因子でもあり、このうち67KDaラミニンレセプター(67LR)がEGCGの活性発現に関与する標的分子であることを立花先生は同定しました。

つまり、お茶の中のEGCGが細胞膜の67LRに結合することで様々な反応が起こるということです。

結合すると①アデニル酸シクラーゼの経路を介してがん抑制遺伝子の一種であるMerlinを活性化しがん細胞増殖を抑制します。

②NO(一酸化窒素)合成酵素を活性化しcGMPを増やすことで酸性スフィンゴミエリナーゼが活性化され、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導します。

③TLR4シグナル阻害因子であるTollipを発現誘導し、がんにより引き起こされている炎症反応を抑えます。

しかし、これらの実験はEGCGがある程度高い濃度で行われているので、生理的な低濃度では効果が不十分である可能性がありました。そこで、いくつかの物質を用いて何がEGCG活性を促進するのか実験が行われました。

まずはビタミンAの誘導体であるオールトランスレチノイン酸です。

これをメラノーマ腫瘍に用いたところ67LRを増やしEGCG細胞表面結合量を増加させて、その成長を抑制する効果が見られました。

続いて、EGCG活性化によるアポトーシス誘導にはcGMPが必要ですが、腫瘍に高発現しているホスホジエステラーゼ5(PDE5)はcGMPを減らしてしまうので、PDE5を阻害する物質が必要になります。

カフェインにはこれを阻害する効果があり、緑茶にもともと含まれているので有用ですが、ED治療薬のバイアグラにも阻害作用があることが分かってきました。そこでヒト乳がん細胞をマウスに移植したモデルにEGCGとバイアグラを投与したところ16日間で細胞が死滅しました。また、多発性骨髄腫や胃がん、すい臓がん、前立腺がんでも同様の結果が得られ、バイアグラとEGCGのコンビが、かなり期待できる物質であると考えられています。

またEGCG活性の増強作用はスフィンゴシンキナーゼ阻害剤との併用においても観察されます。スフィンゴシンキナーゼは、がんの血管新生を促進するので、強い薬以外にこれを阻害する食品があれば助かります。最近、大豆由来のスフィンガジエンがスフィンゴシンリン酸と拮抗し結腸癌の発生を抑える可能性も言われてきているので、もう少し研究が進むことを願っています。

現時点でEGCGを活性化させる食品の候補としてビタミンA、カフェイン、大豆が有力と考えられています。特に、ビタミンAを含むレバーやかぼちゃの摂取だけでは追いつかないので、ビタミンAに関してはサプリメントを用いることも大切です。

がん以外ではEGCGには抗アレルギー作用、LDL酸化抑制作用、インフルエンザ予防効果、認知機能の低下抑制があることがデータとして示されてきております。

つまり、緑茶が単なる健康飲料から薬効をもった飲料であると示される日が近づいてきているからでしょうか。

私たちの周りにはあふれるほどの健康食品がありますが、あれこれ手を出さず、じっとお茶だけを飲んでいるだけでも、かなりの病気を遠ざけることができると思います。

わたしはこれからも緑茶を飲む習慣をやめることなく、続けて参りたいと思います。

photo :富士山写真道楽

がん10年生存率を上げるため免疫細胞療法の力を借りよう!

がん治療において5年生存率が一つの目安になっていますが、このほど国立がん研究センターより10年生存率が公表されました。

1999年から2002年の間に16施設で診療した3万5千症例が対象で、がん全体の5年生存率が63.1%に対し10年生存率は58.2%でした。

まあまあじゃないかと思われる方もいるでしょうが、がんを部位別でみるとかなりの差があります。

最も10年生存率が高いものは甲状腺がんで90.9%、最も低いものはすい臓がんの4.9%です。

5年と10年の比較では胃と大腸がんは69%の横ばいで推移し、早期であれば治療により5年で完治とおおむね言えるでしょう。

一方、肺がんは39.5%から33.2%へ、肝臓がんは32.2%から15.3%へ大きく低下します。乳がんは生存率そのものは他のがんと比べ80%台と高いのですが、5年の88.7%から10年で80.4%と8.3%も大きく下落しています。

何とか5年間を乗り切れば、あとはずっと長生きできると考えている方にはちょっとショックの結果かもしれません。

やはり5年で油断することなく長期フォローのスタンスで、免疫力を高めたり、新たな治療を加えていく必要がありそうです。

特に30%台の肺がんまたはそれ以下の食道、胆のう、肝臓、膵臓がんに対しては今の標準治療だけで生存率を大きく伸ばすことは、とても厳しい気がします。

もちろん今後は標準治療も進歩して行きますが、現時点では標準治療プラスαの治療が必要であると思います。

今年早々に私はお世話になっている健康増進クリニックの水上治先生と連絡を取り、今後のがん治療についてご意見を伺ったところ、新樹状細胞ワクチン療法と活性NK細胞療法の治療成績がとても良く、標準治療のプラスαになりうる治療と教えて頂きました。

樹状細胞ワクチン療法は免疫療法の一つで、自分の樹状細胞を試験管で増やし、自分のがんの目印を付けて、再び体に戻し、その目印をキラーT細胞に覚えこませ、実際にその目印を持ったがん細胞をキラーT細胞に攻撃させるものです。

目印には自分の体にできたがんを手術で取り出した後にすりつぶして利用するものと人工抗原があります。人工抗原は正常細胞ではなくがん細胞に特異的にある抗原でWT1抗原が良く使われます。

この抗原を樹状細胞につける際に、樹状細胞の表面にあるHLAという器にWT1抗原を乗せますが、何種類かあるHLAの型と合わないと乗せることができずワクチンとして機能しない欠点があります。

新樹上細胞ワクチン療法ではこの欠点を克服した新しいWT1を全ての患者さんに使用できるようにしたものです。そして新しいWT1はキラーT細胞だけでなくヘルパーT細胞も活性化するので攻撃力が上がります。

また培養技術の進歩により、今まで自分の血液中の樹状細胞の元となる単球の取り出しに何時間もかかり大変でしたが、これが少量の血液採取で済むようになったこともあげられます。

私たちの体の中で毎日DNAのコピーミスで6000個前後のがん細胞ができているといわれていますが、これをせっせと殺して処理しているのがNK細胞であり、我々にとってとても大切な免疫細胞です。

活性NK細胞療法は自己、非自己に敏感なNK細胞を採血後2週間かけて約1000倍に培養して活性化した後、点滴で戻す方法です。

活性化したNK細胞は、がん細胞の表面にあるMHC分子の減弱を見つけ出し、それをめがけて攻撃します。

またがん細胞のMHC分子がはっきりしないか、消失している場合はIgG抗体を用いFcγレセプターを介してがん細胞を攻撃します(ADCC活性)。

よって活性NK細胞はこれら二つの方法で確実にがん細胞に取りつきアポトーシスに導きます。

この新樹状細胞療法考えたアベ・腫瘍内科・クリニックの阿部博幸先生は活性NK細胞療法と合わせたハイブリッド療法を提唱して良好な結果を出しています。

ただしこの方法を成功させるには患者さん自身のある程度の体力が必要で、がんで栄養失調になった状態では厳しいようです。

その体力を保つためには、野菜や玄米だけの偏った食事でなく、肉、卵など動物性たんぱくも含めたバランスの良い食事が大切であると阿部先生は述べています。

これらの方法は、未だ保険がきかず経済的な負担が大きいのが欠点ですが、ある程度の効果があり、副作用もあまりないので、今後標準治療にプラスαの治療として一番の候補になり、生存率にも影響を与えていくと考えます。

直近(2004~207年)の5年生存率はがん全体で68.8%に上がっており、今後の10年生存率はもうすこし高くなると予想されます。

そしてこのハイブリッド療法が安くできるようになりの広く普及することで、肝臓、膵臓がんの生存率が底上げされれば、全体の5年、10年生存率はさらに上がるでしょう。

世の中のためになる良い方法なので、今後は当院でも取り扱えるよう努力したいと思います。

 image:labroots.com

がん患者さんためのマギーズ東京の成功は地域包括ケアシステムつくりの鍵となるか? maggie’s tokyo project

医師から「がんですね」といわれたらどうしよう?

驚き、不安、恐怖、絶望などさまざまな感情が頭をかけめぐり、やがて強い孤独感におおわれます。

今や2人に1人が経験するがんですが、ある研究によると、がんと診断された人が1年以内に、自殺や不慮の事故で亡くなる数が、一般の人の20倍にもなるようです。

つまり、がん告知後の心理的ストレスは相当なものになります。

そんなとき周りに助けてくれる人や守ってくれる環境があると気持ちが落ち着き、救われた感じを得ることができます。

ただそういった人や環境の中にいる人はわずかで、多くの人はいつも孤独感と闘わなければなりません。

このような人たちが不安や孤独感から少しでも解放されるような施設を作ろうと奮闘されているお二人とこのたびお会いする機会に恵まれました。

東京戸山の白十字訪問看護ステーション総括所長で「暮らしの保健室」室長の秋山正子さんと日本テレビ社会部記者の鈴木美穂さんです。

彼女らが提唱しているものは“maggie’s tokyo project”

がんになった後の人生を自分の力で歩んでいけるように、気軽に訪れ、気兼ねなく相談でき、自分の力を取り戻す居場所「マギーズセンター」を東京に作ることです。

もともとは英国発祥のセンターであり、造園家であるマギー・ジェンクスさんの名前をつけたものです。マギーさんは不幸にも乳がんが再発してしまい、医師から余命が数か月と告げられた時に、生きている間に何とか自分を取り戻せるための空間やサポートができないものかと担当看護師のローラさんと必死に考えたようです。

自身が入院していたエジンバラの病院の敷地内にあった小さな小屋を借りてそういった空間を作ろうとしましたが、その完成を見ずして亡くなってしまいました。

しかし、ローラさんと夫のチャールズさんは「患者でなく一人の人間として過ごせる家庭的な環境と、医学知識のある友人のようなサポートがある空間があれば」とのマギーさんの遺志を継いで第一号をマギーズキャンサーケアリングセンターとして完成させました。今では英国内で20か所を超え、バルセロナや香港に広がっています。

秋山さんは訪問看護師として多くのがん患者さんと接してきた中で、患者さん自身の力でものが考えられるようなサポート体制と支援が必要と考え、いち早くマギーズセンターをモデルにした「暮らしの保健室」をつくりました。

この施設は健康で長生きするためには生きがいと絆が大事であることをモットーにしており、医療相談や絵を描いたり、一緒に食事ができるので、ここにはがん患者さんだけでなく、認知症やその他の疾患をもった高齢の患者さんが大勢来て、憩いの場となっています。またこうした場所は在宅医療や看護が中心となり地域で支え合う地域包括ケアのひとつの形にもなります。

一方、鈴木さんは24歳の時に乳がんを患い、手術や化学療法を経験した中で、その先の未来を想像できないことが、最も苦しいことであったようです。また闘病中、情報はあふれているものの何が最適か分からなかったことや、自分の居場所がなくなり孤独に陥ってしまったこともつらい経験だったようです。

このような経験を踏まえ、今若くしてがんになった人に情報と居場所を提供しようとSTAND UP!!という団体をつくり情報誌を発行することの他に、闘病中の方を自らの家に招き入れてヨガなどのワークショップを開くなどとても精力的に行動されてきました。

こうした中、いつでもサポートできる場を求めていくうちにマギーズを知り、秋山さんと出会うことになったのです。

ここから先がすごい。

2014年4月、すぐに仲間を集め1ヶ月でmaggie’s tokyo projectを立ち上げて半年後にはクラウドファンディングで1100人から2206万円の寄付金調達をしました。

その後2か月後には別の募金が1100万円集まったようです。

そして2か月後に英国本部とマギーズ東京を作ることの交渉をしました。

ここまでスタートから11か月で1年経っていません。

現在NPO法人として豊洲に場所を確保し、着工しているようです。

秋山さんの長年かけて培った信用力と鈴木さんの情熱とITを駆使した知恵がうまく相乗効果をもたらしています。

鈴木さんは今後の運営もすべて寄付で賄っていくとお話していましたが、なんだか楽しそうに見える雰囲気作りも上手で、多くの人が集ってきており、その辺は心配しなくてもいいように思います。

このケースはこれからの地域包括ケアにおける民間での地域サポートの仕方においてとても参考になるものであり、成功を大いに期待しています。

江戸川区でもこれにならって「くらしの保健室かなで」が、当院の近くにオープンしました。ここはがんカフェ、メディカルカフェ、ボランティアの3つを柱とし遊び、学び、行動をモットーに福田さん(最近親しくさせていただいています)を中心にして活動しています。

地域のケアの旗振り役として、医療サイドも関わる形で存在価値や認知度を高め、地域のためにますます発展されることを願っています。

たとえお金がそんなになくてもきちんと仕事をしている信用と情熱があれば、地域の資源をうまく組み合わせることで、みんなの力で良いものがつくれそうな気がしてきました。

出典:www.galinsky.com

百寿者センテナリアンになるには、がん予防と同じく抗炎症が大切

敬老の日は過ぎてしまいましたが、

総務省の発表では、9月15日時点での65歳以上の高齢者数は男性が1462万人、女性が1921万人のあわせて3384万人で、日本の人口の約27%を占め、数、割合ともに過去最高となりました。

また、厚生労働省によりますと、100歳以上の高齢者は6万1568人となり、初めて6万人を超えました。私が生まれたころの1963年には153人でしたので、かなりの増加です。さらに2050年には70万人に達するという予想もあります。

在宅医療の現場においても90代の患者さんの割合が増え、100歳越えの患者さんを診ることもあまり珍しくはなくなりました。

ただ、100歳に達することはそれほど容易なことではなく、その直前(96~99歳)、あと少しというところで天に召されることが多いため100歳のハードルは高い印象があります。

100歳越えの100~104歳の人を百寿者やセンテナリアン、105~109歳の人を超百寿者semisupercentenarian(SSC)、110歳以上をスーパーセンテナリアンsupercentenarian(SC)というようです。

これは慶応大学の広瀬信義先生と新井康通先生らが分類し研究を行っており、最近その興味深い結果が出てきています。

百歳にもなりますと高血圧、骨折、白内障、心臓、呼吸器、脳血管疾患など持病が97%の人にあります。

しかし、糖尿病だけが他の世代に比べ極端に少なかったのです。

この事実がきっかけで、原因を探っていくとアディポネクチンというホルモン様タンパク質が大いに関係していることがわかりました。

百寿者におけるアディポネクチンの血中濃度を調べてみるとほとんどの人で平均より高く、中には若い世代の2倍以上の値の人もいました。

このアディポネクチンは脂肪細胞から分泌されて、インスリン抵抗性を改善し筋肉内への糖の取り込みを促したり、抗炎症、抗老化作用を発揮します。

特に高齢になると炎症反応が高まる傾向にあり、その結果、栄養状態の低下、凝固系の亢進、貧血、サルコペニアが引き起こされます。

しかし、アディポネクチンの抗炎症作用によりこれらを抑えることができます。

つまりこの抗炎症作用が長生きをするためのkeyになります。

私の考えでは、百寿者とはアディポネクチンというプラチナチケットを手に入れ、さらに長生きできる好循環サイクルに入った方々ともいえます。

そこでアディポネクチンは脂肪細胞で作られるので、どんどん太ればよい感じがしますが、そううまくはいきません。

肥大化した脂肪細胞からはTNF-α、レジスチン、遊離脂肪酸などが大量に分泌され骨格筋でのインスリン抵抗性を惹起する一方で、アディポネクチンの産生分泌は低下してしまいます。

やはり太ると耐糖能障害から糖尿病になり長生きできない体になってしまいます。

百寿者を目指すのであれば、絶対に糖尿病にだけはならないぞという心構えが必要でしょう。

さらに新井先生らはアディポネクチンだけでなく細胞老化に関係するテロメアを百寿者やその直系子孫において調べて、面白い結果を導きました。

テロメアは染色体の末端に位置し細胞分裂のたびに短くなり、テロメアの長さは細胞老化の指標として考えられています。

高齢になるにつれテロメア長は短くなりますが、今回の調査では百寿者やその直系子孫ではテロメア長が長く保たれ、子孫の方の年齢が80歳代でも、60歳代の平均値に匹敵する長さを有していることが示されました。

また子孫の方のCRPやTNF-αなど炎症マーカーの値も低く抑えられていました。

つまり百寿者が遺伝的に次世代に引き継がれる可能性を高めているのは抗炎症にあると考えられます。

細胞は分裂を繰り返すと炎症を起こす物質や、タンパク質を分解する酵素を出し、自ら悪い環境にしてしまい老化が進みますが、免疫細胞においてもT細胞は何回も分裂するとサイトカインを放出し炎症を生じさせてしまいます。

新井先生は炎症が健康寿命を規定する要因であると述べており、慢性炎症はがんを引き起こす要因でもあるので、将来炎症を抑える方法として何が良いかを探すことが重要です。

アディポネクチンをアップさせるには有酸素運動や適度な筋肉運動が良く、納豆や豆腐などの大豆製品や青魚を摂ることも効果的と言われています。

抗炎症には、消炎鎮痛剤を飲み続けるわけにはいかないので、食品として以前紹介したクルクミン(ウコン)やEPA(青魚)、αリノレン酸(シソ油)、生姜がおすすめです。

さらに抗酸化作用のあるブロッコリ、トマト、ビタミンEを多く含むアーモンドなどを加えると良いでしょう。

出典:New England Centenarian Study

がんと闘うサプリメントと 機能性食品

がんにおける機能性サプリメントは数多く存在し、何が本当に良いのか迷ってしまいます。

さらに今年4月から機能性食品の表示方法が変ったことにより、どれもこれも体にいいことばかり書かれているので、さらにわからなくなってしまいます。

当院に来られる患者さんには初めにどのようなサプリを飲んでいるかを問診票に書いていただくのですが、必ずと言っていいほど何らかのサプリメントを飲んでおり、その中でもキノコ類、フコイダンが多いようです。

がんに対しては、慢性炎症を抑える、がんのアポトーシスを誘導すること、免疫力を上げることが大切で、これらの効果を持っている機能性サプリメントが必要です。

もちろんタンパク質の摂取、ビタミンB群、C、D、ヘム鉄、亜鉛などのベーシックなサプリはがんに対峙する強い体つくりには欠かせません。そして、がんは嫌気性解糖を行っているので、低酸素症の人、貧血状態が好きなので、貧血予防が特に大切です。

まずはベーシックなサプリで必要とされる栄養素を十分に摂った上で機能性サプリを加えていくやり方が、正しいと私は考えます。

フコイダンはワカメ、昆布、もずくなどの表面にあるヌメリ成分に多く含まれる多糖類です。抗腫瘍作用、免疫活性作用、インフルエンザ感染予防、血栓抑制、育毛作用の機能性は確認されています。フコイダンに含まれる硫酸基がカギを握っており、これが多く含まれる高分子のフコイダンが、低分子より抗腫瘍効果があるようです。基礎研究ではインターフェロンγの産生を促進しNK細胞を活性化したり、マクロファージに作用してIL12やTNFαの産生を誘導すること等の他に、腸のパイエル板からのインターフェロンγの産生を誘導することも分かってきました。特に副作用もなく安全性も十分確認されています。

フコイダンにはG,F,Uの3種類があり、その中のU-フコイダンは、がんのアポトーシスを誘導する働きがあることが最近分かってきて、その機能性に期待が持てます。函館近辺でとれる“がごめ昆布”にはフコイダンが多く含まれており、味が良いので私自身、がごめとろろ昆布を取り寄せて、いつもみそ汁に入れて食べています。

キノコ類は菌糸体から分離されるβグルカンという多糖体が機能性の元となります。中でもアガリクスはβグルカンを多く含むヒメマツタケを使っており、人気があります。ただ、平成18年にキリンウエルフーズが販売していた(今は販売していない)アガリクス顆粒が発がんを促進する作用があるとして問題になったことがあり、良い印象を持たない人も少なからずいるでしょう。

βグルカンは、分子量が大きいため小腸粘膜では吸収されず、小腸内の免疫組織であるパイエル板のM細胞を介して吸収されます。続いてパイエル板にいるマクロファージはそれらを貪食しIL12やインターフェロンγなどのサイトカインを作り出し、結果NK細胞を活性化させて抗がん作用を発揮します。

1985年池川らは10種類のキノコの熱水抽出物の抗がん作用を調べた結果、エノキタケとブナシメジに非常に高いがん増殖阻止力があることを見つけました。それぞれ動物実験をした結果、抗がん作用が認められ、その後両者を組み合わせたEEMという食品ができました。今度はEEMをがん患者さんに用いたところ特に副作用もなく、延命とQOLの改善がみられたようです。また長野県の疫学調査でエノキタケ生産農家のがん死亡率は、長野県全体の死亡率より4割低い結果がでており、EEMに期待が持てます。

クルクミン

ショウガ科の植物であるウコンに含まれるクルクミンは、ターメリックという香辛料としてカレーに使われ、私たちに大変なじみのあるものです。

ポリフェノールの一種で抗酸化作用があります。

二日酔いに効く健康飲料のウコンの力のCMを良く目にしますが、クルクミンを前面に押し出した健康食品の宣伝は少ないようです。当院で取り扱っているドクター向けサプリメントの会社もクルクミンサプリはなく、なかなか認知度が高まらないためか、積極的にウコン、クルクミンをとっている患者さんにはあまりお目にかかりません。ただクルクミンには抗がん作用があることが分かってきて研究も進んでいます。

クルクミンの大事な働きの一つに抗炎症があります。慢性炎症は発がんを促進すると同時に、樹状細胞やキラーT細胞の活性を弱め、免疫抑制系のT細胞の活性を高めてがんに対する免疫力を低下させます。クルクミンはこの慢性炎症を抑え免疫力を高めます。また多くのがん細胞は、NF-kβという転写因子が活性化されアポトーシスが起こりにくくなっております。クルクミンはこの転写因子の活性を阻害し、アポトーシスを促すことで腫瘍縮小効果を示すことが報告されております。さらにイレッサやFOLFOXなどの抗がん剤の効果を高める働きがあることも報告されており、今後が期待できるサプリメントです。がんとは関係ありませんが、クルクミンには脳におけるβアミロイドの蓄積を抑制し、アミロイド斑を減少させる働きもあり、アルツハイマー型認知症対策に使えそうです。

いずれの機能性食品も経口摂取して腸に運ばれて作用するものであり、その現場である腸の環境の良し悪しが、その機能性を十分発揮できるかどうかに関係しています。

そこで乳酸菌 ビフィズス菌などのプロバイオティクスの状態が重要になります。

プロバイオティクスは腸管関連リンパ組織(GALT)に働きかけ腸管免疫を高めるので、幾種類のヨーグルトを摂ったりプロバイオティクスのサプリメントを用いることも必要です。

多くのサプリが出ていますが、私が現時点でおすすめできるものを書きました。

これらの機能性食品を上手に使い、がん予防やがん治療のサポートに役立ててほしいと思います。

出典:teruterubozu.chesuto.jp