琉球温熱で深部体温を上げよう

知り合いのドクターから琉球温熱で体の表面を温めているが、実際に体内の内臓近くの温度を上げているのか質問されました。つまり深部体温が実際に上がるものなのかということです。

体温には寒い、熱いなど外気の影響を受けやすい体表面温(皮膚温)と環境の影響を受けにくい体内部の深部体温(核心温)があります。

深部体温は37℃前後で体表面温より約1度高いとされています。これは体が正常に機能する上で最も適した温度であることを示しており、熱産生と熱放散によりうまく調整されています。

熱産生は主に骨格筋や褐色脂肪組織で行われ、熱放散は汗腺からの発汗や皮膚や口からの蒸散と末梢血管拡張による放熱で行われます。

近年この調節がうまく行かないためか、皮膚温が35度台の低体温の人が増えています。

実際、当院に来られるうつやがんの方のほとんどが低体温です。

この場合、一つにはストレスが原因で自律神経の乱れが起こっていると考えています。ストレスに対する体温の調節に大切なものは自律神経のバランスとホルモンのバランスと言われています。

自律神経には交感神経と副交感神経があり血管の収縮、拡張を調整しており、このバランスが崩れると血液の流れが悪くなり、低体温となります。

また副腎で作られて抗ストレスホルモンであるコルチゾールなどのホルモンバランスが崩れると細胞ダメージの回復ができず、細胞自体のエネルギーが低下し、低体温となります。

低体温は様々な病気を引き起こします。

低体温には血流障害、交感神経の緊張や副腎の疲労が関わり、また体の酸化を防ぐ抗酸化酵素の低下をもたらします。

その結果、便秘や歯周病、花粉症など軽度のものから糖尿病、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、骨粗しょう症、パーキンソン病、認知症、喘息、アトピーなどの病気に罹りやすくなります。

また、体温が一度下がると免疫力は30%下がるといわれ、そのため35度台で活発化するがん細胞をさらに元気づけてしまいます。

したがって私達は低体温にならないように体温を上げる努力をしなければなりません。

体温が上がると血流がよくなります。

血流がよくなるとダメージを受けていた細胞に栄養素が行き渡り、滞っていた老廃物が洗い流されます。そして、37℃付近になると酵素活性が上昇しそれぞれの細胞がエネルギーを効率的に作り出すことができるようになります。

エネルギー産生が高まると内臓脂肪の消費が進みメタボからの脱出が可能になります。

メタボは糖尿病や心臓病など生命にかかわる重大な疾患の原因なので、これらから遠ざかることで寿命が大きく伸びることにつながるでしょう。

また、がんが生育しにくい環境になり、同時に免疫力も上がると言われています。

一つに2014年小林らの体温の上昇と免疫応答の調節についての研究があります。

ボランティアを全身温熱療法装置で(直腸温38.5℃以上で60分)加温し、加温前と加温後に採血しT細胞の働きを調べました。

加温後にインターフェロンγ(IFN-γ)およびインターロイキン-2などのサイトカインの顕著な増加が見られたこととT細胞の膜流動性の変化で応答性が増加した結果が得られ、熱刺激により免疫力が向上したことが示されました。

このように深部体温を確実に上げれば、体の免疫は確実に反応してくれます。と言いたいところですが、ここで一つ問題がでてきました。

実は直腸温は日本と違って欧米では深部体温と認められていないのです。

AORN(米国周術期看護師協会)によると脇の下、口の中、膀胱、直腸、側頭動脈は深部体温測定に適さない部位とされ、適する部位としては鼓膜、下部食道、鼻咽頭、肺動脈で、この中で最も正確なものは肺動脈とされています。

ただ温度測定のために肺動脈にアプローチすることは侵襲が大きく常識的ではありません。

そこで考え出された方法が熱流補償式体温測定原理に基づく加温センサーによる測定で、肺動脈温と高く相関した結果が得られます。

これは医療材料大手の3M社が開発した深部体温モニタリングシステムで、前額部にセンサーを貼付するだけで簡単に肺動脈温に近似した深部体温が測定できます。

当院にて琉球温熱施療前後で測定してみたところ全例で深部体温の上昇が確認されました。

脇の下の皮膚温も同時に測定しましたが、皮膚温の平均上昇温度は0.22℃で、深部体温のそれは0.76℃でした。

また今年から琉球温熱を取り入れた白金の石原内科クリニックでも同様の方法で測定したところ、表面体温以上の深部体温の上昇が確認されました。

よって琉球温熱療法は深部体温を上昇させる一つの方法であるといえます。

病状改善には一時的な深部体温の上昇だけでは不十分で、恒久的な上昇が必要です。

そのために琉球温熱を継続したり、家で毎日湯船に42℃で10分、41℃で15分、40℃で20分を目安にして入ることが大切です。

私の体温は35度台ですと堂々と言っておられる方は要注意です。

低体温から早く脱出して健康な体を取り戻しましょう。

琉球温熱セミナー@AKIBA

春の学会シーズンも終盤を迎え、今月は至る所で会が催されましたが、私たちも琉球温熱恵比寿店と当院との共催という初めての試みで5月10日に琉球温熱セミナーを行いました。

場所が秋葉原でしたので、どうかと思いましたが、おかげさまで多くの方に足を運んでいただき満席となり無事に終えることができました。

今回は琉球温熱本院の屋比久院長を招き、私と二人で、琉球温熱や栄養またはビタミンC点滴療法についてお話をさせていただきました。

屋比久院長の熱のこもった講演では、途中フロアからの質問も沢山出て、普段から皆さんは屋比久院長にいろいろとお話ししたい気持ちを強く持っていることを改めて感じました。

卵と栄養のお話がメインでしたが、皆さんは卵の重要性に気づかれ、中にはご自身の栄養管理がまだ足りないと実感されている方もいたようです。

屋比久院長には生命はタンパク質の塊であり、健康維持にはタンパク質を十分摂取することが必要との基本的な考え方があり、そのためには良質なたんぱく質である卵を毎日2個以上摂ることが大切だと話していました。

つまり、私たちの体の細胞、骨、筋肉、酵素やホルモンはタンパク質を主材料として作られており、タンパクが不足するとこれらの物が作られません。

タンパクは20種類のアミノ酸からできていますが、卵はそれらをすべて含み、特に体内で合成できない9種類の必須アミノ酸を豊富にバランスよく含んでいます。

必須アミノ酸のバランスを数値化したアミノ酸スコアやプロテインスコアでは卵は最高値の100で、申し分のない食品です。

またゆで卵を切った際に黄身のまわりに緑色のすじが見られますが、これはメチオニンという含硫アミノ酸(硫黄を含んだアミノ酸)で、これは血液中のコレステロールを下げ、活性酸素を取り除く作用の他に水銀やカドミウムなどの有害重金属をくっつけて体外に排泄するキレート作用があります。

大豆タンパクではメチオニンが不足しているため、こうした作用を発揮できませんので、大豆だけに偏っている方は時々でも卵を摂った方がよいでしょう。

また卵にはアミノ酸だけでなくビタミンA、ビタミンB1、B2、D、鉄、カルシウムをはじめ沢山の栄養素が含まれています。

特に、黄身にはレシチンが豊富に含まれ細胞の細胞膜を作る成分として使われ、その水と油を中和させる乳化作用により血管壁についたコレステロールや老廃物を除去し血管をきれいにする働きもあります。

卵はコレステロールを増やすのであまりよくないといった迷信がありますが、このたびの屋比久院長の説明から考えが変わった方が多くいたようです。(後のアンケートの結果から)

私は以前に屋比久院長の話を聞いてから自分でも調べてみてなるほどと思い、今では1日に2個以上は納豆と一緒に混ぜてご飯にかけることや、目玉焼きにして摂っています。

今回、屋比久院長が示されたスライドの中で面白いものがありました。

それは患者さん自身が描いた絵を院長にプレゼントし、スライドにしたものです。その絵というのは秋田県の玉川温泉を描いたものですが、そこにはエリアごとにその患者さん自身で測定したラジウムの量が書いてあり、どの場所が一番効能のある所かを示した図とも解釈できました。

玉川温泉に行かれる方には、とても参考になる絵で、今度そのスライドを譲ってもらおうかと思います。

屋比久院長の話は盛り沢山であるため、今回のように1時間では短すぎて温熱と栄養に関して十分に伝えきれなかったようですし、聞きに来られた方ももっとお話をしてほしかった印象です。

次回のセミナーではもう少し長く時間をとれるようしたいと思います。

サウンドヒーリング初体験

まずはうつ伏せになって寝て下さい。次にヘッドホンを付けますね。

この歳になって不思議な体験をしました。「目の前に映像が順々に出てくる 寝ているのか寝ていないのか ウトウトだが、意識はあるし・・・」

ここは目黒駅から5,6分歩いた閑静な住宅街の一角にある喜田圭一郎先生のヒーリングガーデン

一度は行きたいと以前から思っていましたが、なかなか実現できませんでした。しかし、このたびやっと行けたのは、喜田先生の宮古島の癒しの波音CDブックが出版されたのが、きっかけです。屋久島の清流音の次に出版されたものです。

喜田先生はもともと音響装置を作る仕事をされていましたが、チェロの音が体に何らかの良い影響をもたらしていることを知り、音と体の関係を探るために本来の仕事を投げ打ってその研究に没頭したようです。

そしてとうとうオリジナルの体感音響装置を作り上げ、この装置を用いたサウンドヒーリングという分野を確立した第一人者であります。

現在サウンドヒーリング協会の理事長として音と体、健康、病気に関する研究をされており、音が体を調節し、病気にまでも変化をもたらすことを示され、世の中に広めるべく世界中を飛び回っています。

喜田先生とはじめてお会いしたのは2年ほど前で、私がお手伝いをしている特別養護老人ホームまごころ館の理事長の紹介で、当院にて琉球温熱を体験していただきました。

喜田先生は人を温かく包みこむ笑顔の持ち主であり、そのときにその笑顔で琉球温熱を褒めていただいたのを今でも覚えています。

 

サウンドヒーリングはヘッドホンからヒーリングのために特別に作曲された音楽が流れ、その低音域の音(150Hz以下)は小型の体感音響器から出て、体に当てると振動として伝わります。この結果心も体もリラックスして自律神経の調節、血行促進、免疫力アップにつながると言われています。

私には低周波治療器を当てているように感じましたが、実際に耳から聞こえる音楽と骨伝導として伝わる音がシンクロして体全体が音に包まれているように思えました。

そして、体感音響器を背中から臀部、大腿、下腿、足底へと今回施療してくれたニーニャさんが動かして行く中で、徐々に体から力が抜けて行きました。

実はこの日、目黒に来る前の診療が少しハードで左の眼の奥と頭部から頸部にかけての痛みあり、うつ伏せに寝ていることが多少辛く、施療中も首の位置などが気になっていました。

そして、施療をすすめて行くうちに目の前に今まで見たことのない人の顔や景色の映像が次々と現れてきて、こんなに沢山の映像が出てこなくてもいいのにと思ったほどです。この間も首のことを気にしており、自分では寝ているとは思いませんでした。

しかし、施療後ニーニャさんによると体は十分に力が抜けて、時折ピクッ、ピクッと動いていたようです。つまりREM睡眠に近いかたちで寝ていたのですね。

今回のケースを自分なりに分析してみると

睡眠段階でいうと覚醒段階から第1段階のまどろみ期、入眠期に比較的早くに陥ったものと思われます。この第1段階の脳波はα波が覚醒時の50%以下になりリズムがなくなり平坦化し、低電位の徐派であるθ波が不規則に出てきます。この脳波に似た形がREM睡眠で出現すると言われている以外に目を閉じて心を静め無心になって想念を集中させる“瞑想”でもあるようです。

今回は瞑想をしたわけでもありませんが、サウンドヒーリングによりそれに近い状態が作られた可能性があります。しかし、まだ一度きりなので何とも言えません。

施療直後は不思議な感覚が前面に出ていて頭痛、頸部痛は続いていましたが、2時間後すっかりその症状は消え、その後心地よさが残りました。不思議です。

近々、再びお伺いして体にどんな変化が起こるか確かめてみたいと思います。

サウンドヒーリングには人が本来持っている自然治癒力を引き出し、健康維持、病気に対して様々な効能があるようで、琉球温熱の考え方とも近く、私ももう少し深く勉強してみたいと思います。

また当院では屋久島の清流音と宮古島の波音を流しておりますが、琉球温熱や高濃度ビタミンC点滴時のリラクセーションに、好評いただきとても役に立っております。

よって身近なサウンドヒーリングとしてご自宅でも流されることをお薦めします。

不妊と冷えの対処法

冷えは多くの病気を引き起こす原因の一つになります。
この背景にはストレス、自律神経の乱れ、低体温があります。
ストレスの多い現代社会においては、ある程度は仕方がないことかもしれませんが、放置しておくわけにはいきません。

特に、冷えは婦人科系の疾患に大いに影響する場合があり、不妊もその一つと言われています。

一般的に不妊の原因としては、精子の数、運動・奇形率など男性側の要因と子宮、卵巣の状態など女性側の要因があり男女とも等しく責任があるとされています。
しかし、生殖医療を専門に行っている医師によると、年齢とともに子宮筋腫や子宮内膜症のような不妊原因となる病気にかかりやすくなり、月経が終わって間もなく高温期になり排卵が早まることや30歳代前半までは毎周期良好胚が得られるのに対し、年齢とともに良好でない卵子が排卵されてくる事実から卵子の要因が大きく、結果として妊娠率の低下、流産率の上昇を招いているようです。
産婦人科の先生方は妊娠率を上げるために、体外受精や顕微鏡受精などの高度な技術で対応していますが、全ての人が成功するには至っていません。

それではこれら病気の発症や卵子の劣化などの原因は何かと考えてみると、根本的な答えは未だ見つかっていません。
そこで西洋医学的な考えに漢方的な考えと栄養学的な考えを取り入れてみました。

女性は初潮、月経、妊娠、出産、更年期と男性にはない体の変化をします。黄帝内経という漢方の書物によると女性の一生は7の倍数の年齢ごとに節目があり、30歳頃をピークに腎気(生命のエネルギー)が衰えて行くようです。
この移りゆく流れが乱れた場合、東洋医学でいう精神や感情までも包括した「血」のバランスの崩れが原因であると考えられ、様々な症状が見られます。

特に血のめぐりが悪く滞った状態を「瘀血」(おけつ)といい、月経に付随した症状や女性の病気に関与しており、多くは冷えも伴っています。
瘀血の状況において体型、顔色、冷え、月経量、むくみの傾向などにより大きく2つのタイプに分けられます。
細身で青白く、手足に強い冷えがあり、月経量が少なめで、頭痛があり、むくみ傾向の場合に当帰芍薬散を用います。
一方、がっしりしてのぼせて赤い顔色で、下半身の冷えがあり、月経量が多く、下腹部に張りと圧痛がある場合は桂枝茯苓丸を使います。
また、冷え症と唇の乾き、手のほてりがある場合、血の巡りを改善する温経湯を用いますが、漢方で大切なことは自覚症状をじっくりと聞き取ることで、それを改善し、体調を良くすることが、妊娠への近道になります。

また、最近用いられている漢方周期療法は基礎体温表における月経期、卵胞期、排卵期、黄体期それぞれの生理周期ごとに漢方薬を処方し飲み分ける方法です。
これは基礎低温表を深読みしてそれぞれの時期の問題点を見つけ出し処方するので、見立ての力量によって結果が変化することがあり、この方法に精通した専門家に診てもらう必要があります。

そして、もう一つの大事な考え方があります。
不妊症、不育症の最大の原因は「冷え」による子宮内の血流低下と自律神経のアンバランスであり、これにはホルモンバランス、自律神経バランス、免疫バランス、血液循環バランス、エネルギー代謝システムの5つの調和が大切になります。
妊娠を作物の収穫に例えてみて、女性の体(子宮)を畑、卵子(受精卵)を種とすると種(卵子や精子)が丈夫であること、畑(母体、子宮)が肥沃(栄養状態、ホルモンバランスがいい)で耕されている(子宮内膜が着床しやすい状態である)こと。日当たり(血流)が良く、水はけ(尿、便の具合)が良いこと。気候が温暖(冷えがなく)で、四季(高温期と低温期)がはっきりしていること。農薬(強い薬、食品添加物など)をあまり使わないことで良い作物(赤ちゃん)が得られます。

方的な例えをしましたが、局所の問題に対しては栄養療法を利用することができます。
栄養療法は60項目以上の血液検査を行い、生化学的な詳細な解析をして不妊状態の体内環境を詳しく調べ、食事指導とサプリメントの指導を行い、必要な栄養素を細胞に届ける方法です。検査によると不妊男女では典型的に男性の亜鉛欠乏、女性の鉄不足が見られます。
最近ではカロリーをとっている割には栄養素が不足している場合が多いです。
特に糖質の取り過ぎとタンパク質、鉄の不足です。
糖質の取り過ぎにより機能性低血糖症状がおこりイライラが抜けない状態になります。
そしてインスリン抵抗性が高いままでいると、排卵障害や子宮内膜症の原因になります。
タンパク質不足は妊娠に圧倒的に不利な状況になります。
そもそもタンパク質は体を構成する大事な要素で、酵素やホルモンの基となる物質なので、体重1kgあたり1~1.5g(体重50kgの人は50~75g)必要となります。
鉄欠乏では粘膜の代謝がうまく行えず、子宮内膜の構造と機能に異常をきたし、着床しづらい状態になります。
また極端なダイエットをしてコレステロールが低下している場合がありますが、コレステロールは女性ホルモンの材料であり、排卵に影響を及ぼすので野菜だけに偏らず肉も取るようにすべきです。
亜鉛は細胞分裂に関係し、鉄と同様に粘膜、皮膚を作る材料になるので、男性だけでなく女性も積極的にとったほうが良いです。
妊娠を望む方は一度ご自分の栄養状態を客観的にみることで、早く対処法を見つけ、妊娠体質への改善ができます。

病院の治療でなかなか進展しない時に少し目先を変えて、漢方や栄養療法のアプローチをしてみるのも大事であると思います。

また、不妊の大きな要因である冷えに対しては、体全体を効率的に温めることができる琉球温熱療法が力を発揮します。

がんになったら食事はどうする?

がんになったら何を食べたらよいか
がん予防のための食事は、体に良いとされているものを適度に摂っていけば、大きな間違えはないと思いますが、いざがんになったらどうすべきか、皆さんとても迷うところです。玄米を食べるべきか、肉は食べるべきか否か、水は何が良いのかなど実際に混乱が生じています。

病院ではがんを取り、縮小させることに力が集中しますので、食事指導や栄養指導はどうしても後回しになるか、必要ないものとして扱われがちです。
こういった場合に、親戚や知り合いの方などが、食事、栄養に関してアドバイスをして、さまざまな方法を紹介し、患者さんを導きます。
患者さんは言われたとおりにまず実践し、できそうであれば続けるケースがほとんどで、自ら調べ上げて実践するケースはごく少数で、よほど元気がない限りできません。

代表的にはマクロビオティックや欧米のゲルソン療法があり、その他に医師が考え出した方法がいくつかあって、この中から患者さんは自分に合うやり方を選択しています。
マクロビオティックは玄米菜食が中心で、一方ゲルソン療法は ガンの原因となる食品を排除し、 自然な食べ物から栄養素をバランスよく摂ることによって 人間が本来持っている身体の機能を高めて病気を排除しようとするものです。
特徴としては徹底的にナトリウムを排除した無塩食と、油脂の制限、カリウムの取り込みを目的とした野菜ジュースの大量摂取、そして肝臓の修復と除痛を目的としたコーヒー浣腸があります。かなり徹底しているので続けることが大変そうです。

がんになった人の食事療法については、2003年にアメリカ対がん協会が指標となる判定を公表しています。いくつかの食事療法について、それを行うことで利益が得られるかどうかを、「再発防止」「生存期間の延長」「QOLの向上」という観点から判定したところ、飽和脂肪酸を減らした低脂肪食や野菜、果物の摂取は積極的に取り入れて体重を維持し、運動を増やすことが大切であることがわかりました。 残念ながらマクロビオティックやゲルソン療法に関しては特に述べられていません。

また2007年11月にイギリスにある世界がん研究基金が食物・栄養・運動とがん予防との関係について約7000件の研究論文の中からエビデンスレベルの高い論文を分析して報告書を提出しました。それには、がんと診断され、すでに治療を終えた人たちも、健康な人のがん予防として推奨されていることにならうと述べられています。つまり現時点ではがんになった人の食事療法はこれだというものはなく、がん予防に大切とされることを踏襲するのが近道のようです。

しかし、当院にいらっしゃる患者さんの中には、肉などの動物性たんぱく質が、がんの栄養になって成長させてしまい、免疫を落とすことにつながるからという理由で、徹底的に排除して低栄養状態になっている方も見られます。低栄養状態はがん患者によく見られる症状であり、生存率や生活の質の低下を伴います。低栄養状態の診断には、体重減少が最も有効な臨床的指標ですが、この体重減少は、特に筋肉量の減少を伴い、一般的に「サルコペニア(筋肉減少症)」と呼ばれています。
がんは分裂し大きくなるためのエネルギーを血液中のブドウ糖から得ており、その消費量は正常細胞の6倍といわれています。血糖値を維持するために糖原性アミノ酸を原料とし肝臓でブドウ糖をつくる糖新生という働きが活発に行われます。するとこの糖原性アミノ酸は筋肉から供給されるので、筋肉はますます痩せて、サルコペニアになります。

サルコペニアにならないためには、筋肉の元となる肉や卵などの動物性たんぱく質を多く取り筋肉をがんに負けずに作ることが必要ですが、これらががんの栄養になるとの噂から摂らないでいるとサルコペニアがますます進んでしまいます。

そして、新宿溝口クリニックの溝口先生によると、がんが栄養として欲するたんぱく質は血液中のアルブミンと赤血球のヘモグロビンなので、食事からのたんぱく質は関係なく、積極的に肉、卵を摂るべきであると述べています。私も同じ考えで、がんになってしまったら、貧血を改善してがんと闘う体力、免疫力を付ける上でも動物性たんぱく質は必要であると思います。もちろん糖質は制限しなければなりません。

当院には化学療法や放射線療法を続けながら、琉球温熱と高濃度ビタミンC点滴を併用される患者さんもいらっしゃいます。皆さん、たんぱく質を積極的に摂って、がんと闘っています。
今後、標準治療をはじめとする治療法がますます進化してゆく中で、体力がないために新しい治療法に挑戦できないといった残念な結果にならないように食事を考えることが大切ではないでしょうか。