運動器の老化も酸化ストレスが原因だった!すぐにビタミンCをはじめよう

体のサビが糖尿病、認知症やがんなど様々な病気の原因になるとよく言われています。

サビとは酸化のことで、体が酸化するつまり、細胞が酸化されると細胞は機能不全に陥ります。細胞がダメージを受ければ当然体もダメになります。よって体をサビさせない抗酸化がとても大切です。

今まで、内臓や血管などの臓器に対して酸化の弊害が多く論じられていますが、骨、軟骨、筋肉などの運動器の基本的パーツに対しては注意がされていない印象です。

骨、軟骨、筋肉はサビるのでしょうか?

順天堂整形外科の野尻先生は運動機能の低下が介護状態をもたらすロコモティブシンドロームと酸化ストレスの関係を研究しており、運動器の酸化について最近とても興味深い結果を数多く出されています。

まず酸化ストレスとは生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れ、酸化が多くなった生体にとって好ましくない状態であると定義されています。

どうして酸化が進むか?

私たちが吸った酸素は細胞に届き、細胞内で酸素を使ってブドウ糖からエネルギーを作る際に細胞内のミトコンドリアから活性酸素が出てきます。この活性酸素が細胞を酸化させサビの原因になります。

つまり、エネルギーを沢山作ろうとするとミトコンドリアがフル回転して活性酸素を大量に発生させます。

活性酸素にはスーパーオキシドや過酸化水素などがありますが、なかでもヒドロキシラジカルという活性酸素が最も反応性に富み細胞毒となります。

マラソンなどの激しい運動を続けると活性酸素が体内に充満し、あまりよろしくない状況に陥ります。

しかし、幸いなことに私たちの体内にはこの毒を消す酵素が備わっています。それがSOD(スーパーオキシドデスムターゼ)という酵素です。

ただ、残念なことにSODは加齢とともに減少してゆくのです。

SODには細胞質内にあるSOD1とミトコンドリアに局在するSOD2があります。

野尻先生たちは酸化ストレスから私たちを守るこのSODが少なくなると運動器にどういった変化が起こるか、骨、軟骨、筋肉の順で、人為的にSODを持たなくした遺伝子欠損マウスを使って調べました。

まず、骨においてSOD1欠損マウスでは骨内細胞を培養するとスーパーオキシドが増えてきて、アポトーシス(細胞死)が起こるようになり、結果的に骨の質の低下をもたらしました。骨の質と量が低下すると骨粗鬆症に陥ります。

さらに実験を進めるとSODは骨量減少、骨質劣化や廃用性骨萎縮の防御に働いていることがわかりました。

またSOD2が欠損するとやはりスーパーオキシドが増えて骨形成の低下、骨吸収の増加が起こり骨細胞間のネットワークの破綻とともに骨量の減少が起こりました。このことからSODは良い骨を維持する上でとても大切であることが示されました。

軟骨においては変性が進むことで高齢者を悩ます変形性膝関節症が問題となります。じっとしていても膝が痛い。動かすとなお痛い。だから動かない。動かないと膝が固まり寝たきりになる。とても怖い病気の一つです。

これも遺伝子の研究からSOD2の減少が関係していると言われていました。

野尻先生たちは軟骨に特異的なSOD2欠損マウスをつくり、ストレスを加えたところ軟骨の変性がより強く表れました。これを深く調べていくとミトコンドリアの機能不全による細胞外基質の形成不良が関係していることがわかりました。つまり、軟骨におけるSOD2の減少によるスーパーオキシドの増加が変形性関節症の原因であることを突き止め、軟骨においてもSODの必要性が示されました。

骨格筋においても骨格筋に特異的なSOD2欠損マウスを使って調べたところ、筋肉持久力や走行能力の低下がありました。細胞レベルで調べてゆくとミトコンドリア内膜にある呼吸鎖複合体というタンパク活性の著しい低下により筋肉内のATP、エネルギーがほぼ枯渇している状態でした。つまりSODがないと筋肉は働くことができず、骨格筋でもSODが大切であることがわかりました。

 

以上よりスーパーオキシドによる酸化ストレスが運動器加齢変化の原因であることが今回の研究によって示されたわけです。

つまり私たちにとって大切なことは酸化ストレスを制御することで加齢変化を遅らせロコモティブシンドロームに陥らないようにすることです。

そのための予防戦略として野尻先生は①SOD活性をもって活性酸素を消去するようなSOD類似物質、抗酸化薬の投与 ②SODを活性化させるような遺伝子の上流の制御 ③下流の制御をあげています。

そこで抗酸化薬の投与の中でビタミンCを用いSOD1欠損マウスを使って調べたところ、ビタミンC摂取量と骨密度が正の相関を示し、骨量と骨強度が完全に回復しました。軟骨に対しては親油性にしたビタミンCをSOD2欠損マウスに注射したところスーパーオキシドは減少し、軟骨変性を軽減させる結果が得られたようです。

また、SODの上流には長寿遺伝子と呼ばれているサーチュイン遺伝子があり、これを活性化するためにはカロリー制限やレスベラトロールまたはNAD(ニコチンアミドアデニンヌクレオチド)などが必要であると野尻先生は述べています。

 

やはり運動器においても他の疾患と同様に酸化ストレスが悪さをしてサビることが明らかになりました。

特に運動器がやられると健康寿命が短くなり、亡くなるまで寝たきりで、つらい日々を送らなければなりません。

よって単なる長生きではなく健康寿命を延ばすために、私たちは日々抗酸化の努力をし続ける必要があります。

さまざまな抗酸化アプローチがありますが、まずはビタミンCを摂ることからはじめてみてはいかがでしょうか。

photo: seattleorganicrestaurants.com

糖質はメイラード反応を介して病気の元になる

糖質を摂りすぎると体調不良や病気になります。

糖質は生きていく上で絶対必要なものですが、過剰になると体内で変な反応が起こり細胞に悪影響を及ぼします。この変な反応の一つがメイラード反応です。

一方、メイラード反応は体外でも見られ、美味しそうなパンの皮の褐色や味噌や醤油の褐色変化はこの反応によるものです。食品の見た目、味、香りにはプラスですが、食品中のタンパク質やアミノ酸の生体利用性を低下させたり、ポテトチップスに含まれ発癌物質であるアクリルアミドの生成に関与したり、発癌物質生成を促す反応としてマイナス面があります。

そもそもメイラード反応は“タンパク質”と“糖”との間の濃度と温度と時間に規定される非酵素的な化学反応であります。具体的にはタンパク質のアミノ基-NH2と糖のアルデヒド基-CHOが出会いアマドリ化合物が形成されその後、脱水、縮合、酸化、転移などの反応を経て最終的にAGEs(糖化最終産物)がつくられます。アマドリ化合物を代表する有名な物質として糖尿病の重症度を示すヘモグロビンA1cHbA1c)があります。そして、AGEsはその沈着により皮膚のくすみやしわ、骨粗鬆症、白内障など体の老化を引き起こします。

体内にはさまざまなタンパク質があり糖と出会うことによりメイラード反応が起きます。その中にはヘモグロビンの他にアルコールデヒドロゲナーゼなどの酵素類やアルブミンなどの血漿タンパク、インスリンなどのホルモン、コラーゲンやケラチン、赤血球などの細胞膜タンパク質があります。

さらに、DNAはリン酸,糖、塩基で構成され-NH2を持っておりDNAにもメイラード反応が起こります。DNAが外部環境により変化するといったepigeneticな修飾は酵素的なメチル化だけでなく、非酵素的なメイラード反応の中間代謝産物のメチルグリオキサールが関与しており、病的な修飾が起こり得ます。

メイラード反応の厄介なところはアマドリ化合物が自己酸化の過程で活性酸素種を発生することです。活性酸素種には過酸化水素や一酸化窒素、スーパーオキシドと最もたちの悪いヒドロキシラジカルがあります。ここで発生するフリーラジカルは反応性が高く体内の細胞を傷つけます。ラジカルがDNAを攻撃した場合、DNAが変化し細胞が癌化する恐れもあります。一方、好中球が生成するスーパーオキシドは殺菌作用や抗腫瘍効果のメディエーターであり生体防御で大きな役割を果たしている側面もあります。

また体内には活性酸素を消去する仕組みが備わっており、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)やカタラーゼがその役割を演じます。

もし体内でこれらが足りなくなるといけないので、常にビタミンCやビタミンEなどの抗酸化剤を取っておく必要があります。

老化や病気の原因の一つに酸化ストレスがあります。酸化ストレスとは体内で過剰に発生した活性酸素がタンパク質、核酸(DNA)などの生体成分を酸化し臓器障害に至らしめることです。

メイラード反応はこの酸化ストレス原因になるだけでなく、ストレスをさらに増大させるので注意が必要です。

糖尿病のように長時間にわたる高血糖状態では体内でタンパク質と反応しメイラード反応が起こりますが、2011年IDF(国際糖尿病連合)のガイドラインによると2型糖尿病患者では慢性的に持続する高血糖よりも食後血糖値の急激な変動の方が酸化ストレスおよび内皮機能に対する誘発作用がより顕著であり、食後高血糖の治療によって酸化ストレスや炎症、内皮機能不全、血栓症を改善することができると明記されました。

2016年10月のNHKスペシャルでは“血糖値スパイクが危ない”と食後高血糖が血管病変だけでなく、突然死やがんにも関わることが紹介され、この認識が広く知れ渡ったようです。

実際にHbA1cとがん罹患の関係でHbA1cの上昇とともに特に6.5以上でがん罹患リスクは1.43と高まり、高血糖はメイラード反応を介してDNAを変化させがんリスクを高めると考えている人もいます。

また糖尿病の患者のアルツハイマー病発症リスクは健常者の1.42.4倍であり、脳内にたまるアミロイドβがメイラード反応の産物の可能性があることから高血糖がメイラード反応を介して認知症に関与するという考え方もあります。

そして九州大学の調査では糖尿病患者でなくても、(空腹時血糖ではなく)負荷後2時間の血糖値が認知症に相関することが示されました。

よって、食後高血糖にならないような食事法が大事です。つまり糖質制限で行われている食事の量や順番(野菜タンパク脂肪糖質)、GI値の低い食材の選択などが必要です。

一方、糖尿病薬のメトホルミンという薬は糖尿病だけでなくがんやアルツハイマー型認知症にも有効といわれています。その理由としてメトホルミンは分子中にアミノ基を有する化合物であり、メイラード反応を阻害するようなので、今後積極的に使われることが望ましいかもしれません。

厳密な糖質制限は長持ちしないので、少し緩めの糖質制限(米、パン、ラーメンを自身が満足する量の半分にする)をはじめて食後高血糖にならないよう注意しましょう。

また、糖尿病にならないよう運動を取り入れましょう。

photo: myvega.com

 

ロコモ フレイル サルコペニアを理解し健康寿命をのばそう

最近至る所でフレイル サルコペニア ロコモティブシンドロームなど高齢の方々向けの言葉が多く聞かれるようなりましたが、統一された定義がなく、それぞれの意味と関係がいまひとつ分かりにくいようです。
そこで私なりに少し整理してみようと思います。
フレイルは2014年に日本老年医学会がFrailty=弱さから作った造語で、加齢による予備力低下が原因で、些細な外的因子に対して健康被害をきたしやすい状態を言います。

サルコペニアは以前ブログで書いたように、ギリシア語で「肉」を表すサルコと「喪失」を意味するペニアを合わせた造語で、筋肉が無くなることを意味しています。主に進行性および全身性の骨格筋肉量や骨格筋力の低下により身体的障害や生活の質が低下するような状態を示し、筋肉をメインにした言葉です。

ロコモティブシンドローム(ロコモ)は10年前に日本整形外科学会が提唱した言葉で、筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器のいずれか、あるいは複数に障害が起こり、立つ、歩くといった移動機能が低下している状態を示しています。

フレイルには糖尿病、心臓病、認知症などの加齢による慢性疾患が背後に存在している場合が多く、長年の生活習慣が影響を及ぼします。
フレイルの診断基準としては①体重減少(年間5%以上)②疲れやすい(何をするのも面倒だと週に3,4日以上感じる)③歩行速度の低下④握力の低下⑤身体活動量の低下のうち3項目以上を示すものとされます。
またフレイルは身体的なものだけでなく、認知能力や精神的、社会的な面も関係しており、少し動ける人から寝たきりの人も含まれるので割と幅広い概念であるともいえます。
フレイルに適切な治療などの介入をすれば、健康の方向に戻すことも可能ですが、介入をしないと身体機能障害が進み死に至る危険性があります。

一方、ロコモティブシンドロームには移動機能を調べるロコモ度テストがあります。①下肢筋力を調べる立ち上がりテスト②歩幅を調べる2ステップテスト③痛みやしびれ、日常生活動作などの25項目の問診に答えるロコモ25の3つのテストからロコモ度1or2を判定します。
ロコモ度1は移動機能の低下が始まってきていることを示し、ロコモ度2は移動能力の低下が進行して自立した生活ができにくいことを示します。
因みに40歳以上の日本人でロコモ度1は4590万人、ロコモ度2は1380万人いると言われています。
もともと整形外科学会としては人々が要介護にならないように移動機能という面から注意喚起をして予防するためにロコモを提唱したので、フレイルという状態の前段階を示しているように私は感じます。
実際にフレイルにならないようにロコモ対策をしようとロコモとフレイルの連続性を言う老年内科の先生も出てきているようです。

サルコペニアの診断は60歳以上で①歩行速度②握力③筋量の測定により行われ、日本では370万人と推定されています。
整形外科医的にはその数倍は存在する印象があり、このロコモより圧倒的に少ない数に驚きを感じます。
よってサルコペニアはロコモより重症なものとしてフレイルの中の一病態と考えた方がしっくりきます。

厚労省のホームページによるとフレイルとサルコペニアの関係において、Frailty cycleの中にサルコペニアを位置付けています。
つまり、サルコペニアになると筋力、活力の低下で身体機能と活動度が低下し、さらに基礎代謝が低下することで体全体のエネルギー消費が減少します。
すると食欲と食事摂取量が減り、低栄養に至りその結果サルコペニアが進むといった悪いサイクルに陥ってしまうと説明しています。こ
れはサルコペニアをフレイルサイクルの中核病態として位置付けているといえます。

まとめると加齢によりロコモとなり、様々な疾患が加わることでフレイルへと進むが、そのフレイルを加速させる中核にサルコペニアが存在すると私は考えます。

ロコモを進ませないためにはロコトレをはじめとする運動とタンパク質とカルシウムの入った食事が大切と言われています。またフレイル予防にはもちろん運動とビタミンDとタンパク質の摂取が大切です。
運動療法に関する最近の論文では、肥満高齢者に運動指導する際、有酸素運動と筋力トレーニングを合わせて実施することで、有酸素運動または筋力トレーニングのみを実施する場合に比べ、半年後の身体機能はより大幅に向上することが示されました。
有酸素運動だけでは体重が減るだけでなく股関節骨密度も減ってしまい、筋力の増加割合も他群の1/4以下で、あまりいい結果ではありませんでした。
つまり、有酸素運動だけでは加齢に伴う筋量および骨量の低下を加速させ、結果としてサルコペニアやオステオペニアを生じさせる可能性があるので、筋力トレーニングの併用が望ましいと論じていました(Villareal DT. N Engl J Med.2017) 。

また、フレイル予防には絶対に避けなければいけない病気として糖尿病があります。
糖尿病はインスリンが働かず、糖新生の抑制が効いていない状態なので、常に体タンパクの異化か続いており、筋肉のタンパクが使われてやせ細ってゆきます。
フレイル予防におけるタンパク質摂取は食事から60~80g/日くらい必要で、運動とともにアミノ酸のBCAA一つであるロイシンを十分とることも大切です。これはロイシンが筋タンパク質を増やす働きが強いためです。
もちろんタンパク質の代謝を促すビタミンB群は必要ですが、ビタミンDも骨だけでなく筋肉にも働き、代謝を上げてタンパク質の合成を促進することもわかってきました。

これらの栄養素を十分とりながら有酸素運動と筋トレを行い、中核病態であるサルコペニアを予防することでフレイルに陥らないようにしましょう。

このようなことを40代から心掛けていればもちろんロコモにはなりません。

photo: Fraser Health News

運動と栄養と幸運

運を動かすと書いて運動と読みます。以前のブログでもご紹介した言葉です。

私は良い運を引き寄せるためには、運動はたとえ軽めでもまた少しさぼってもやり続けることと思っています。特に無理をせず自身のレベルに合った運動をチョイスすることが大切です。

運動にはスポーツ選手レベルからダイエット、体力向上レベル、そして高齢者レベルと段階に応じたものがあります。

高いレベルの運動は立つ、走るなどの基本的な動作に十分な筋力が加わり、そして高度な技術が備わって初めて可能になります。

中等度以下の運動レベルでは高度な技術ではなく基本的な動作と筋力訓練が中心となります。

筋力をつけるには、筋力訓練、栄養補給、十分な休養が基本となります。

特に胸 腹 背中 大腿など体幹筋にある程度の強い負荷を与え、筋肉にダメージを与えてから約48時間後に筋力がさらに強くなる超回復というもの考えながら行うのが近道です。つまり毎日毎日激しい筋肉運動をするのではなく2,3日インターバルを取って鍛えるのです。

そのためには運動によるタンパク質の減少に注意して、運動前の糖質の摂取と運動後のタンパク質の摂取を心掛けます。

また運動はあくまでも筋肉に刺激を与え、わずかな崩壊を引き起こすもので、筋肉が成長するのは筋を休めている時であることから十分な休養は大切です。

今年1月にソフトバンクの柳田選手が自主トレで毎日ゆで卵の卵白8個と鶏むね肉中心で炭水化物カットの高タンパク、低脂肪、低糖質の食事をしていることに対してダルビッシュ選手が苦言を呈したことがありました。

ダルビッシュ選手の言い分としては極度の炭水化物制限が筋肉を削り体脂肪の減少による弊害が出てしまうというものです。私もその通りだと思いました。

柳田選手の鍛え方は筋肉を見せるボディビルダーに当てはまる方法で、短期間勝負に適したやり方です。

短期間で筋肉をつけても骨や関節の動きがついてゆけず、関節近辺での炎症や疲労骨折、筋断裂の副作用が出てしまいます。

つまり、炭水化物を取らないと体はエネルギー不足に陥り、そのエネルギーを補うために筋肉から糖質を作らなければならず、結果筋肉が減ってしまうことになります。

また体脂肪もエネルギーを蓄えるために大切であり、脂肪の減らし過ぎは良くありません。野球のように長い期間戦い、バッティングや守備において強くて繊細な筋肉運動が必要な場合、十分な炭水化物を取りながらゆっくり筋肉量を増やすトレーニングが優先されるべきでしょう。

因みにソフトバンク柳田選手の5/16現在の打率は2割4分4厘で過去5年間において最低となっています。今からでも遅くないので食事内容を改めて早く成績を上げてほしいものです。

このように運動と栄養はともにリンクしており状況に応じて、食事内容や食べ方の工夫をしてある程度変えなければなりません。

そして、タンパク質と糖質の摂り方には基本があるので、そのあたりをおさえながら進めてゆくのが良いでしょう。

1日に必要なタンパク質は普通の人であれば体重1㎏あたり1gとされていますが、アスリートは2gぐらいが適当です。つまり、体重60㎏の人であれば60~120gは必要になります。

タンパク質は、朝食時、運動後、就寝前に必ず摂ることが大切です。朝は1日の始まりであり、栄養が一番不足している状態なのでその日に必要なタンパク質を摂ります。

運動後は壊れた筋肉が修復のためタンパク質を欲しているので、30~40分以内に摂ると効果的です。このとき筋肉のタンパク同化作用を促すためにも炭水化物を一緒に摂ることが大切です。

また、就寝後深い眠りに入り2時間くらい成長ホルモンが分泌され、体のメンテナンスが行われます。このときに十分なタンパクがあることが大事なので、温かいミルクやナッツを一緒に摂ると良いでしょう。

炭水化物は普通の人であれば体重1㎏あたり6gで、アスリートは9gぐらいが

適当であると言われており、やはりアスリートは多めの炭水化物が必要です。

食事は3食を基本とし 朝は前日の夕食後からの飢餓状態からのスタートなので、果糖たっぷりのフルーツ等だけではなく卵、納豆、牛乳などのタンパク質を取り入れることが大切です。

朝運動するのであれば炭水化物とタンパク質少量を摂ってからはじめ、運動後も炭水化物を摂ります。炭水化物は一度に大量に摂るのではなく運動前後にこまめに摂ることが秘訣です。

こうした工夫により筋肉のタンパク質が蓄えられ、筋力の維持ができます。

運動による身体活動量の増加はもちろん筋肉が担っています。

それにより総エネルギー量が増加し脂肪消費が増える際に、アディポサイトカインというホルモンの分泌が是正され糖・脂質代謝が改善するともに、体の慢性炎症が抑えられるといわれています。

慢性炎症は病気の根源なので、結果運動により病気を遠ざけることができます。

運動は運を動かし引き寄せるとはこのあたりにあるように思います。

タンパク質と糖質を上手に摂りながら運動を続けて健康という幸運を手に入れましょう。

photo: Phil Tognetti

琉球温熱で深部体温を上げよう

知り合いのドクターから琉球温熱で体の表面を温めているが、実際に体内の内臓近くの温度を上げているのか質問されました。つまり深部体温が実際に上がるものなのかということです。

体温には寒い、熱いなど外気の影響を受けやすい体表面温(皮膚温)と環境の影響を受けにくい体内部の深部体温(核心温)があります。

深部体温は37℃前後で体表面温より約1度高いとされています。これは体が正常に機能する上で最も適した温度であることを示しており、熱産生と熱放散によりうまく調整されています。

熱産生は主に骨格筋や褐色脂肪組織で行われ、熱放散は汗腺からの発汗や皮膚や口からの蒸散と末梢血管拡張による放熱で行われます。

近年この調節がうまく行かないためか、皮膚温が35度台の低体温の人が増えています。

実際、当院に来られるうつやがんの方のほとんどが低体温です。

この場合、一つにはストレスが原因で自律神経の乱れが起こっていると考えています。ストレスに対する体温の調節に大切なものは自律神経のバランスとホルモンのバランスと言われています。

自律神経には交感神経と副交感神経があり血管の収縮、拡張を調整しており、このバランスが崩れると血液の流れが悪くなり、低体温となります。

また副腎で作られて抗ストレスホルモンであるコルチゾールなどのホルモンバランスが崩れると細胞ダメージの回復ができず、細胞自体のエネルギーが低下し、低体温となります。

低体温は様々な病気を引き起こします。

低体温には血流障害、交感神経の緊張や副腎の疲労が関わり、また体の酸化を防ぐ抗酸化酵素の低下をもたらします。

その結果、便秘や歯周病、花粉症など軽度のものから糖尿病、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、骨粗しょう症、パーキンソン病、認知症、喘息、アトピーなどの病気に罹りやすくなります。

また、体温が一度下がると免疫力は30%下がるといわれ、そのため35度台で活発化するがん細胞をさらに元気づけてしまいます。

したがって私達は低体温にならないように体温を上げる努力をしなければなりません。

体温が上がると血流がよくなります。

血流がよくなるとダメージを受けていた細胞に栄養素が行き渡り、滞っていた老廃物が洗い流されます。そして、37℃付近になると酵素活性が上昇しそれぞれの細胞がエネルギーを効率的に作り出すことができるようになります。

エネルギー産生が高まると内臓脂肪の消費が進みメタボからの脱出が可能になります。

メタボは糖尿病や心臓病など生命にかかわる重大な疾患の原因なので、これらから遠ざかることで寿命が大きく伸びることにつながるでしょう。

また、がんが生育しにくい環境になり、同時に免疫力も上がると言われています。

一つに2014年小林らの体温の上昇と免疫応答の調節についての研究があります。

ボランティアを全身温熱療法装置で(直腸温38.5℃以上で60分)加温し、加温前と加温後に採血しT細胞の働きを調べました。

加温後にインターフェロンγ(IFN-γ)およびインターロイキン-2などのサイトカインの顕著な増加が見られたこととT細胞の膜流動性の変化で応答性が増加した結果が得られ、熱刺激により免疫力が向上したことが示されました。

このように深部体温を確実に上げれば、体の免疫は確実に反応してくれます。と言いたいところですが、ここで一つ問題がでてきました。

実は直腸温は日本と違って欧米では深部体温と認められていないのです。

AORN(米国周術期看護師協会)によると脇の下、口の中、膀胱、直腸、側頭動脈は深部体温測定に適さない部位とされ、適する部位としては鼓膜、下部食道、鼻咽頭、肺動脈で、この中で最も正確なものは肺動脈とされています。

ただ温度測定のために肺動脈にアプローチすることは侵襲が大きく常識的ではありません。

そこで考え出された方法が熱流補償式体温測定原理に基づく加温センサーによる測定で、肺動脈温と高く相関した結果が得られます。

これは医療材料大手の3M社が開発した深部体温モニタリングシステムで、前額部にセンサーを貼付するだけで簡単に肺動脈温に近似した深部体温が測定できます。

当院にて琉球温熱施療前後で測定してみたところ全例で深部体温の上昇が確認されました。

脇の下の皮膚温も同時に測定しましたが、皮膚温の平均上昇温度は0.22℃で、深部体温のそれは0.76℃でした。

また今年から琉球温熱を取り入れた白金の石原内科クリニックでも同様の方法で測定したところ、表面体温以上の深部体温の上昇が確認されました。

よって琉球温熱療法は深部体温を上昇させる一つの方法であるといえます。

病状改善には一時的な深部体温の上昇だけでは不十分で、恒久的な上昇が必要です。

そのために琉球温熱を継続したり、家で毎日湯船に42℃で10分、41℃で15分、40℃で20分を目安にして入ることが大切です。

私の体温は35度台ですと堂々と言っておられる方は要注意です。

低体温から早く脱出して健康な体を取り戻しましょう。