運・動

秋晴れの中、順天堂整形外科同門会ゴルフコンペに参加してきました。三浦半島の葉山の丘にある葉山国際カンツリー倶楽部http://www.hayama-kokusai-cc.com/はとても風光明媚な所で、プレーの途中、横浜、東京湾、スカイツリーから富士山、湘南の海を見渡せ心が和みます。コースは丘の上に作られただけあってアップダウンが多く、ある程度の体力を要し特に膝周りが丈夫でないと大変です。私の場合、幸いいつもウォーキングしているおかげで乗り越えることができ、常日頃の運動が大切であることを感じました。

運動と整形外科といえば最近ではロコモティブシンドローム(通称 ロコモ)というものがあります。ロコモは英語で運動のという意味ですが、内科分野で流行ったメタボに対して東大の整形外科の先生が名付けた言葉です。体を動かすために必要な骨、関節、筋肉、神経など運動器の機能が衰え、動けないリスクが高まってきた状態から要介護になった状態までを含みます。現在の日本では40歳以上のロコモ人口は約4700万人と推定され、高齢者に至っては要支援、要介護の原因の3割が転倒による骨折や関節の病気などで脳卒中に次ぐ多さです。ロコモも原因は1.運動不足による筋力低下、2.関節や椎間板の変性、3.骨の脆弱化、4.神経の機能低下などです。老化現象だから仕方がないと放っておくと予防に気を使っている人に比べ早期に歩行困難、寝たきり状態になり、認知症が併発する恐れがあります。膝が痛い、つまずきやすくなったなどの症状があればロコモになりかけているかもしれません。多くは50歳代に顕在化してくるので、その手前の30代後半から40代に予防に力を入れたいものです。筋肉、骨、関節など運動器は良い使い方をするときちんと要求に答えようとする性質があるので、基本的には適度な運動を継続して行うことが大切です。ただ、この適度なとか、継続ということが思っている以上に難しいと思います。私は毎朝2~30分ほどのウォーキングを取り入れていますが、時々サボるようにすることで継続できています。自分を追い込むような激しい運動は、逆にストレスになり、活性酸素をたくさん発生させることにもなるので、長続きすることもなく反対にマイナスの効果をもたらすので中高年にはあまりお勧めはできません。いかに運動を通してリラックスできるかがキーになると考えています。今は様々な運動があるのでいろいろトライして自分に合った運動を一つ見つけることも大事なポイントです。

コンペの最後に同門会長が良いことを教えてくれました。“運動は運を動かすものだよ”と

運動を行うことで健康になり人生を楽しむ機会が広がる可能性を再認識した言葉でした。

炭水化物制限食とは

糖質は敵か味方か。生きる上で味方であるのは言うまでもありませんが、ダイエットをしている方は多少「敵」と感じているかもしれません。前回のブログでコシヒカリをほめておいて言うのもなんですが、私もそう感じている一人であります。実際に1年ほど前から炭水化物制限、高タンパク食をはじめて腹部、臀部のぜい肉が減り、体重としては7kgほどダウンしました。

炭水化物制限なので全く食べないというのではなく、なるべく食べないようにするという考え方です。そして、カロリーは無視してなるべく多くの栄養素を取ることに重点を置きました。

その方法は

1.朝は欠かさず3食きちんととる。

2.白米だけはなるべくとらず玄米とのミックス(白米7:玄米3)や十穀米などにする。

3.パンは全粒粉、うどんよりそば、具沢山のパスタを選択する。

4.スタートは野菜、そしてタンパク質、脂質、炭水化物の順番で食べる。

5.腹八分目になったら最後の炭水化物を残す。

6.デザート、果物は最小限に

7.タンパクは肉、卵から 油はオリーブオイル中心

上の7つの理由として

1.なるべく飢餓状態を作らないようにすることが大事で、これはインスリンを出す膵臓の負荷を減らすためです。負荷が続くと肥満になりインスリン抵抗性が増して糖尿病につながります。また、血糖の乱高下がおこり精神状態が不安定になります。そのため1回量を加減して1日4食でもいいと思います。

2.3.食後の血糖値への影響を示す値としてGI値(グリセミックインデックス)、GL値(グリセミックロード)やカーボカウントなどがあります。GI値は炭水化物を含む食品を摂取した後の血糖値の上昇する速さを示したもので、GI値が高いほど血糖値(ブドウ糖)が早く上がりやすいということです。私はGI値が高いか低いかで大まかに分けて、なるべく低い食べ物を選択しています。GI値の高いものとしは、白米、精白小麦粉、白パン、精白パスタ、じゃがいもがあり、低いものとして野菜、豆類、全粒粉があります。

すぐに必要な量以上にブドウ糖があると、余分なものは中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられ体重増加につながります。また、高GI食は脳のエンドルフィンレベルを上げて気分が良くなるので癖になりやすいことがいえます。

4.野菜をはじめに食べておくと血糖値の上昇が抑えられることが分かっているのでこれは常に心掛けたほうがいいです。そして、栄養素が失われないように生か蒸したものがおすすめです。

5.炭水化物までたどり着かなくてもその前である程度に満腹感が得られればオーケーでまた、満腹でなくても満足であるという癖をつけることが絶対量を減らす上でも大事です。残すと行儀が悪いように感じるかもしれませんが体のために残す勇気も大切です。

6. 甘い果物は食後高血糖をもたらし、果糖の糖化ストレスがブドウ糖より高いことを示すデータもあるので、あくまでも最小限にしておくべきです。糖化ストレスとは糖とタンパクが反応しAGEsという物質が作られる状態を表し、このAGEsは活性酸素を除去するSOD活性を低下させ、動脈硬化や老化を引き起こします。

7.良質のタンパクとオリーブオイルだけでなくω-3系の油(魚、亜麻仁、くるみ)などを選択し日常に取り入れることも大切です。

最後に、毎日続けられる軽い運動、たとえば20~30分のウォーキングなどを取り入れると炭水化物制限食がより効果的になります。

山の子米(やまのこまい)


 
おいしいお米に出会いました。山の子米(やまのこまい)です。

最近私は低炭水化物、高タンパク食を心掛けており

白米、白いパンをできるだけ少なくする食生活を送ってきているので

正直白米の話はするつもりはなかったのですが、あまりにも素晴らしいものなので

ご紹介します。

先日、杉並区にある新渡戸文化学園の学園祭に行ったところ広場にあるステージ上で小学生達がマイク片手にお米の育て方のプレゼンをしていました。

わざわざ新潟県から来た柏崎市の門出(かどいで)小学校の子供たちが、何やら“紙マルチ農法”という特別に手間のかかる方法でお米を作った話でした。

お米を育てる上で大事なことは稲に付く害虫をいかに無くすかで、普通に農薬を使う、害虫を食べる鳥を使うなどの方法がありますが、後者はどうしても完全には駆除できないようです。

また農薬を使うと稲穂は多くつきますが稲が伸びすぎて折れる率が高くなり結果として収穫量が減ってしまい、鳥などを使う自然農法は稲穂の量が少なくなります。

やはり目指すは完全無農薬、有機栽培のコシヒカリなので、そこで考え出されたのが紙マルチ農法です。

 
 

 
簡単に述べますと紙マルチという大きな紙を田んぼに広げてそこに等間隔に穴をあけ苗を植えてゆきます。機械で行う方法もありますが、門出小の子供たちは手作業で植えました。紙マルチの主な特徴は穴から出た苗以外の日光を遮断し雑草が生えないようにすることです。害虫は雑草を伝わり稲に付くので雑草がないと害虫は出ないという理屈です。

そして、紙マルチは水田中の微生物により、徐々に分解されていきます。

稲が生育して陰をつくり、除草の必要が無くなる頃、つまり約45日で紙マルチは分解されて無くなってしまうので回収する必要がありません。

すばらしい知恵とエコ感覚! プレゼンしていた子供たちに思わず感動。

 

そして聞いていた人たちにこの秋収穫した山の子米が配られました。

私もその一人だったので、家で早速炊いてみるとごはんが艶々で輝いて見えました。

真っ先にほおばり、今まで味わったことのない感覚が口の中に広がり、思わずおいしいと大きな声が出てしまうほどでした。

 

いつもは健康を気使い野菜、タンパク質、脂肪、炭水化物の順で口に入れて行きますが、この時に限ってはおいしい白米の魅力には勝てませんでした。

 

門出小のみなさんありがとうございました。

学会シーズン


秋は学会や研究会がいたる所で行われています。

先日は第13回国際統合医学会学術集会に参加してきました。

テーマは「パーソナライズド・メディシンの実践―精神・生存哲学的視点からの提言―」という何か難しそうなものです。

前回、前々回は先端医療の治療技術の報告がメインでしたが、今回はぐっと内面的なお話が多かったようです。

忙しい診療の中ではなかなか考える余裕はありませんが、私たち医療を行うものが生きる意味を見出すことや人生の意味、死生観などが肉体や健康にも大きく影響を及ぼすことを深く認識し、生命哲学を再考する上でいい機会でした。

 

午後のセッションでは私が所属している点滴療法研究会の柳澤厚生先生が

「福島原発作業者に対する高濃度ビタミンC点滴と抗酸化サプリメントによる介入」を

発表しました。

内容は「福島原発作業員に遺伝子解析を行ったところ、癌リスク値が増加した例があり、高濃度ビタミンC点滴療法と抗酸化サプリメントにより正常化した。原発作業者の被ばく予防対策としてビタミンC点滴や抗酸化栄養素の摂取を直ちに実施すべきである。」というものです。また話の中で自衛隊は原発に行く前に必ずビタミンCを取っているらしく、危機管理のプロが実践しているということは、放射線対策には必要不可欠なものであると思いました。

先日もとあるサプリメント会社から福島原発で働いておられる作業員のためにビタミンCや抗酸化サプリを送りたいとの主旨で連絡があり、僅かですがご協力させていただきました。
この学会は医者だけでなく代替・補完療法に携わる方々が参加できる場なので、数多くの有用な情報を手に入れることができます。そして、その情報を基にいろいろな角度から患者さんに説明することができるので今後の診療にとても役立ちます。

温故知新 ブログスタート


このたび新聞で興味深い記事を見付けたので、ブログの形で残して行こうと思います。

 

10月21日の日経新聞 「イレッサ」間質性肺炎で死亡 副作用の仕組み一端解明

 

慶応大、熊本大、日本医大の研究グループが特殊なタンパク質の減少が関与していることを発見。

その特殊なタンパク質はHSP70というもので、肺がん治療薬のイレッサによる間質性肺炎を防ぐ機能があり、これが減少すると肺炎が引き起こされます。

間質性肺炎は治療が難しく肺が徐々に硬くなりガス交換ができなくなって死に至ることもある怖い病気です。

そこでこの研究者たちはマウスを使ってHSP70を増やすことで知られている胃炎、胃潰瘍の治療薬の「セルベックス」をイレッサとともに投与したところ、HSPの量が回復し間質性肺炎の発症を抑えることができたのです。

肺がん患者さんにとっては重大な副作用がなくなるので、とても良いお知らせです。

私が注目したのはセルベックスという薬とHSP70というタンパク質が関係し、副作用の予防という形でがん治療に役立っていることです。


 セルベックスは私が二十数年前医者になりたてのころ、先輩から一番初めに教えられた胃薬であり、今ではクラシックな薬という印象です。

HSP( ヒート・ショック・プロテイン Heat Shock Protein) はショウジョウバエを高温で飼育したときにたくさん増えるタンパク質として1962年に発見されたのでこれもクラシックなタンパク質といえます。HSPはさまざまなストレス刺激で細胞内に誘導されますが熱ストレス(例えば温泉など)が最もHSPを誘導します。そして、HSPは弱った細胞内のタンパク質を修復し再び元気な細胞にする作用をもっており、自然治癒力の源のようです。

 


今回の研究は温故知新と言いましょうか、昔を振り返るだけでなく再構築することで現代の新しい知見となることをダイレクトに示したものだと思います。世の中には忘れ去られたり、見過ごされたりしている過去のものを掘り返すことで現代に生かせるものがたくさん眠っているように感じます。

私はそういった研究が好きです。