温故知新 ブログスタート


このたび新聞で興味深い記事を見付けたので、ブログの形で残して行こうと思います。

 

10月21日の日経新聞 「イレッサ」間質性肺炎で死亡 副作用の仕組み一端解明

 

慶応大、熊本大、日本医大の研究グループが特殊なタンパク質の減少が関与していることを発見。

その特殊なタンパク質はHSP70というもので、肺がん治療薬のイレッサによる間質性肺炎を防ぐ機能があり、これが減少すると肺炎が引き起こされます。

間質性肺炎は治療が難しく肺が徐々に硬くなりガス交換ができなくなって死に至ることもある怖い病気です。

そこでこの研究者たちはマウスを使ってHSP70を増やすことで知られている胃炎、胃潰瘍の治療薬の「セルベックス」をイレッサとともに投与したところ、HSPの量が回復し間質性肺炎の発症を抑えることができたのです。

肺がん患者さんにとっては重大な副作用がなくなるので、とても良いお知らせです。

私が注目したのはセルベックスという薬とHSP70というタンパク質が関係し、副作用の予防という形でがん治療に役立っていることです。


 セルベックスは私が二十数年前医者になりたてのころ、先輩から一番初めに教えられた胃薬であり、今ではクラシックな薬という印象です。

HSP( ヒート・ショック・プロテイン Heat Shock Protein) はショウジョウバエを高温で飼育したときにたくさん増えるタンパク質として1962年に発見されたのでこれもクラシックなタンパク質といえます。HSPはさまざまなストレス刺激で細胞内に誘導されますが熱ストレス(例えば温泉など)が最もHSPを誘導します。そして、HSPは弱った細胞内のタンパク質を修復し再び元気な細胞にする作用をもっており、自然治癒力の源のようです。

 


今回の研究は温故知新と言いましょうか、昔を振り返るだけでなく再構築することで現代の新しい知見となることをダイレクトに示したものだと思います。世の中には忘れ去られたり、見過ごされたりしている過去のものを掘り返すことで現代に生かせるものがたくさん眠っているように感じます。

私はそういった研究が好きです。